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[Fリーグ]6年目の意気込みを語る大阪FP一木「遊び心を見せていきたい」

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 昨シーズン、過去最高の準優勝という結果を残したシュライカー大阪。その中で年を追うごとに重要な役割を担っている男が、いる。3-2で競り勝った第2節のペスカドーラ町田戦で、決勝点を挙げたFP一木秀之だ。この試合、大阪は決して良い出来ではなかった。町田に押し込まれながらも、悪い時間帯を粘り強く耐え、相手のミスを逃さずに得点を重ねて競り勝った。一木自身も「結果だけが良かった」と振り返る。

 ここ数シーズンの大阪はスロースターターぶりが顕著だった。後半戦になると、一気に順位を上げて行く。昨シーズンも第11節から最終節まで、17試合無敗というリーグの新記録を打ち立てた。チームの課題がシーズンの序盤戦であることは明白だった。だからこそ、この連勝は大きいと一木は言う。

「相手のミスを得点につなげて、勝ち点3を2試合取れたことは大きいですね。あとは24日のアウェーの大分戦。この3試合が終われば、少し間が空くので、この3つを勝つことが大事だなと感じていました。昨年の第1クールも9試合で6勝1分け2敗と、決して悪くなかったのですが、名古屋と浦安に負けて、府中と引き分けた。府中戦と浦安戦に関しては本当に1点の重みを感じた試合だったので、今年はこうして連勝できたことにチームの成長を感じました」

 勝利すると、反省点がボヤケてしまうことがある。しかし、一木は個人としても、チームとしても、課題があると口にした。町田戦で決勝点を挙げた一木は、マン・オブ・ザ・マッチ(以下MOM)に輝いたが、「恥ずかしかった」と打ち明けた。

「選んでもらえたのは嬉しかったですよ。でも、今日は正直、MOMは恥ずかしい。インタビューに応えながら、辱めを受けた感じですね…(苦笑)。僕に求められているのは、まずミスをしないことが一つ。そして、攻撃にアクセントを付けることが一つ。でも、今日はミスが多かった。あらためないといけないなと反省しています」

 一木は派手な個人技で局面を打開し、次々と決定的なことをする選手ではない。それでも、正確にパスをつなぎ、チームの潤滑油になる。そこにはチームメイトの助けも不可欠だ。16日、17日と連戦となった影響もあり、周囲のフォローが遅れ、自身の判断が遅れたのではないか。そう聞くと、一木はやんわりと否定した。

「周りのせいにするのは簡単ですよ。ここに(味方が)いてくれたら楽なのにな、っていうのもありますが、今日は僕自身が慌てていたと思います。そういう(味方の動きが重い)状況で僕に求められているのは、パスコースを自分でつくること。ドリブルで少し運んだり、トラップする前にボールに寄って、敵が来たら急に止まる、とか。そうやってパスコースをつくれたはずです。そういうプレーが自分でできなかった」

 おそらく『Fリーグができて、最も成長した男賞』があれば、この男が受賞するだろう。Fリーグができる7年前まで、彼は関東リーグのブラックショーツというチームでプレーしていた。当時を振り返りながら、「自分でも考えられないくらい、成長した」と笑った。

「あの頃は『後ろの選手はとにかく蹴れ!』っていう感じでしたからね(笑)。(森岡)薫(現・名古屋)とか、個人技に優れた選手に預けるか、無理ならクリアーっていう感じでした。本当に大阪に来て成長させてもらったと思います」

 大阪に、Fリーグに、成長させてもらったという感謝の気持ちが、ある。だからこそ、余裕を持ってFのピッチに立てるようになった今、『魅せること』を意識しているという。

「多くの人にフットサルを見に来て、リピーターになってもらいたいんです。そのためにはテレビでも取り上げてもらって、認知度を上げていきたい。そうなったときに求められるのは、単に『パス、止める』『パス、止める』ではないんだと5年間やってきて感じました。ピッチに立つ上で余裕も出てきたので、そういう遊び心をもっと見せて行きたいと思います」

 一つひとつ目標を設定しながら、確実に達成してきた男の新たなシーズンが始まった。

(取材・文 河合拓)

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