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[第18回フットサル全日本選手権]初優勝を喜ぶFPリカルジーニョ「大阪のポスターを変えたかった」

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[3.17 フットサル全日本選手権 決勝 名古屋4-4(PK4-3)フウガすみだ 代々木]

 絶対に、このタイトルを獲りたい。世界一のフットサル選手は、強い決意を持って今大会に臨んでいた。Fリーグ6連覇中の名古屋オーシャンズが、唯一、一度も獲ったことのなかったタイトルが、全日本選手権だった。『フットサル界のクリスティアーノ・ロナウド』と称されるFPリカルジーニョは、歴史を変えなければいけないと感じていた。

 実力差のある相手との試合もあったグループステージについては「モチベーションの維持が難しかった」と明かすリカルジーニョ。だが、代々木体育館で行われた決勝トーナメントについては、初戦の相手がシュライカー大阪だったこともあり、モチベーションを高く保って戦えたと振り返る。

「この時期になると、全日本選手権のポスターが貼られるのですが、毎年、大阪の選手たちがトロフィーを掲げている写真が使われていたんです。僕たちのホームであるオーシャンアリーナも、そこら中にオオサカ、オオサカ、オオサカ…となっていたので、それを変えたいと思っていました」

 その大阪を2-1で振り切り、準決勝では湘南を6-2と圧倒。決勝ではフウガすみだに苦しめられ、試合は4-4のまま、PK戦までもつれ込んだ。この日、ゴールのなかったリカルジーニョは、PK戦で名古屋の5番手として登場。左足から放った強烈なシュートが、右ポストを叩き、ゴールに決まると、スタンドからはどよめきが起こった。『これぞ、ワールドクラス!!』というシュートだったが、実は本人は少し焦ったという。

「1本目から、相手のGKはシュートコースを予測して、先に動いていました。相手のGKの予測どおりのコースに蹴ってしまう可能性があったので、強いシュートを蹴ろうということだけは決めていました。ただ、シュートコースについては、最後まで迷いました。真ん中に蹴るか、右に蹴るか。最後の瞬間に右に蹴ろうと決めて、できるだけ際どいコースに蹴ったのですが、ポストに当たるとは思っていなかったので、ガンと当たった瞬間はドキッとしましたね。でも、入ったので良かったです」

 この直後にフウガすみだの5人目のキッカーが蹴ったシュートをGK川原永光が止めて、名古屋は悲願の初優勝を達成した。「今日は、ゴールを挙げることはできませんでした。でも、一番のゴール(目標)は、チームが優勝することです。トロフィーを掲げた、あの瞬間は私がゴールを決めた瞬間でもあったんです」と、小柄なポルトガル人は胸を張った。

 今季の名古屋は主要タイトルをすべて獲得したばかりか、シーズンを無敗で終えた。達成感に満ちた表情で、リカルジーニョは言った。「これで日本国内のタイトルは、すべて獲りました」。今オフに欧州クラブへ移籍するという噂もあるが、来季も全日本選手権のポスターが張ってあるオーシャンアリーナで、気持ち良くプレーする彼の姿を見られることを期待したい。
(取材・文 河合拓)
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