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[選手権予選]川島母校の王者・浦和東、徹底した武器活かして初勝利:埼玉2次L

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[10.8 第91回全国高校選手権埼玉県予選2次L第2節 浦和東2-0東農大三 惣右衛門G]

 第91回全国高校サッカー選手権埼玉県予選は8日、2次リーグ第2節を行い、連覇を狙う浦和東は東農大三と対戦。CB大場瑞希主将(3年)とFW鈴木魁斗(3年)のゴールによって2-0で勝ち、通算成績を1勝1分とした。2次リーグ最終節は13日に行われる。

 公立の雄が自分たちのサッカーにこだわって1勝目を挙げた。日本代表GK川島永嗣らを育てた野崎正治監督が「ウチは本当に力がない。だからやるべきことを徹底するしかない」という浦和東。昨年、武南、西武台、正智深谷など全国クラスの強豪私立校を抑えて「奇跡的」(野崎監督)に優勝し、全国舞台でも1勝した王者は昨年に比べて個がやや落ちる分を全員サッカーで補って私立の壁に挑戦している。

 前半は自陣でひたむきに守る東農大三に苦戦した。動き出しの速さに加えて相手の背後を狙う動き、ロングボールのセカンドボールに対してパワーをかける点など、連動性の高い攻撃を見せる浦和東は前半10分、鈴木のスルーパスからMF遠藤佑真(3年)が決定機を迎え、12分にはこの日再三相手を苦しめていた右SB池田慧(3年)の左ロングスローに大場が頭から飛び込む。さらに26分には右CKのこぼれ球を大場が左足で叩いたが、ビッグセーブを連発する東農大三GK笠原脩佑(3年)の壁を破ることができない。

 奮闘する守護神や相手の決定機を身体を張って阻んだCB馬場凌(2年)ら守備陣の好守に支えられた東農大三は、正確なワンツーで相手のファーストDFを剥がすと、スピードのあるMF森健介主将(3年)の縦へのドリブル突破やMF六尾憲太郎(3年)の配球、そしてセットプレーから反撃。浦和東の堅い守備を崩すまでは至らなかったが、前半を0-0で終えた。

 それでも前線でボールの収まる鈴木、U-16日本代表候補FWンドカ・ボニフェイス(2年)の2トップや、右サイドからダイナミックな動きを見せていたMF堀江直稀(3年)、2年生の左SB眞方優作(2年)中心に迫力のある攻撃を見せる浦和東は後半4分、眞方の右CKから鈴木が決定的なヘディングシュート。7分にも堀江の右クロスから再び鈴木が決定的なヘディングシュートを放つ。いずれも驚異的な反応で阻んだGK笠原によって東農大三応援団が沸く。だが直後、浦和東がついに先制点を挙げた。

 7分、眞方の右CKのこぼれ球をンドカがゴールを背にしたままキープして大場へ落とすと、主将は渾身の右足シュートをゴール左隅へねじ込んだ。東農大三はFW村田修治(3年)の左足FKや森のシュート、六尾と10番FW堀野晃平(3年)のコンビネーションなどで反撃したが、GK高田鴻(3年)中心に堅い守りを見せる浦和東は隙を見せない。逆に36分、浦和東は右FKから逆サイドへ展開すると、MF小曽戸優(3年)の折り返しを鈴木がダイビングヘッドでゴールへと押し込んで勝敗の行方を決定づけた。

 浦和東は埼玉栄との初戦で1-1スタートも、磨きぬかれたセットプレーの強さと堅い守備という武器を活かして今大会初勝利。総体予選では勝てば全国大会出場の決まる準決勝で全国大会準優勝の武南から2点先取しながら逆転負けを喫し、悔しい思いをしてきた。その思いも胸に頂点を狙う。「自分たちの代はチャンピオンになっていない。(王者というより)チャレンジャーという気持ちでやっている」という大場は、「もっと前半に相手を後ろ向きにさせて走らせて、体力を削らなければいけなかった。自分たちはセットプレーの練習をよくやっている。セットプレーは見て欲しいところ」と語った。

 注目のナイジェリア系FWンドカは「FWなんで点取れなかったことは悔しい。前半、最初のチャンスに取れと言われていた。自分で決められる場面があった。次回は積極的に前を向いてシュートを打っていきたいと思います」と反省。そして「(優勝した昨年のチームは)守備がしっかりしていた。前行くときは連動していて、引くときはしっかりブロックつくって失点も少なかった。自分たちの目標は埼玉県で優勝して全国大会にでること。守備を強くして、失点を少なくして1-0とかで勝つような試合をしていきたい」と連覇への意気込みを口にしていた。

(取材・文 吉田太郎)
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