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[選手権予選]綾羽、全国初出場懸けて野洲との決勝へ:滋賀

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[11.10 全国高校選手権滋賀県大会準決勝 綾羽1-0水口東 皇子山]

 第91回全国高校サッカー選手権滋賀県大会は10日、準決勝を行い、綾羽が水口東に1-0で勝利。3年ぶり3回目の決勝進出を決めた綾羽は17日の決勝で野洲と対戦する。

 1点リードを守りぬいて悲願の初優勝に王手を懸けた綾羽だが、試合後の選手の表情は晴れなかった。喜びを爆発させるような選手は一人もいない。GK山嵜啓吾主将(3年)は「もっと点を取りたかった。1-0ではあまり嬉しいと思っていない」。目指しているのは頂点に立つことだけ。思うようなサッカーができなかったことから、前半32分のゴールシーンに比べると試合後の選手たちの笑顔は控えめだった。

 それでも初の全国まであと1勝だ。ポゼッションからオープンスペースへとボールを運ぶ綾羽に決勝点が生まれたのは前半32分だった。綾羽はMF柴田貴史(3年)のシュートのこぼれ球を拾ったMF中山慎也(3年)が中央での切り返しでDF一人かわすと、左中間を縦に仕掛けて「センタリングよりもシュートを撃つことを考えた」と左足を振りぬく。これがゴール右隅へと吸い込まれて先制点となった。

 右MFとして先発した中山を「マークがキツかった。ストレスを抱えていた。ボールが右へ右へ行って、左を使っている時間が少なかった」(岸本幸二監督)という理由から10分ほど前に左サイドへポジションを移していた。これが見事に当たり、値千金の一撃。殊勲の中山も「右よりも左の方がやりやすかった。(決勝ゴールは)気持ちよかった」と喜んでいた。

 ロングボール主体の水口東はMF平岡貴紀(3年)の左足ミドルや縦パスに反応したMF川島遥(3年)の左足シュートなどで反撃。だが綾羽は指揮官が「(準々決勝の)守北戦でロングボール主体に来るチームとやっていたので、バタバタせずにやれた。背後を取られないように誰がヘディングするかはっきりしていた」と振り返ったようにDF山本俊昂(3年)とDF水谷力也(2年)の両CBが冷静に対応する。

 23分にはゴール前のこぼれ球を押し込まれそうになったが、ポストに救われると、山嵜の好守もあって同点ゴールを許さない。水口東はMF辻昌汰(3年)のドリブルなどアクセントに綾羽ゴールを目指したが、なかなか攻撃にパワーをかけることができず。中山や交代出場の1年生FW田中寛之が前線で攻撃力を発揮するなど、攻められても押し返していた綾羽が1-0で準決勝を制した。

 中山とMF松浦蓮(3年)が出場した2年前は野洲との決勝で先制しながらも2-3で逆転負け。当時に比べると決して個々の能力は高くないが、中山らサイドアタッカーに特長的な選手のいる今年はそのスピードを活かして雪辱を目指す。岸本監督は野洲との決勝へ向けて「我慢して最後走り切ることができるか。焦ってしまうと相手の思うツボ。3回目の決勝。何とかここまで来たらあと1勝。上まで行けたらなと思う」。そして山嵜は「今年こそ決勝で野洲を倒そうとやってきた目標を果たしたい。今年こそ絶対に全国へ出たいです」。納得いかなかった準決勝から最高の準備をして決勝へ。全国区の野洲を今度こそ破って歴史を変える。

[写真]前半32分、綾羽・中山が左足で決勝ゴール

(取材・文 吉田太郎)
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