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[選手権予選]インハイベスト16の國學院久我山、延長戦で暁星振り切る:東京B

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[10.20 全国高校選手権東京都Bブロック準々決勝 暁星1-2國學院久我山 駒沢第2]

 第92回全国高校サッカー選手権東京都Bブロック予選は20日、準々決勝を行い、今夏の全国高校総体16強の國學院久我山と暁星との一戦は延長戦へもつれ込んだが、國學院久我山がFW松村遼(3年)の2ゴールによって2-1で勝利。東京実と対戦する準決勝へ進出した。

 激しい風雨の中で開催された東京の「8強決戦」。U-18日本代表候補のMF渡辺夏彦主将、東京を代表する点取り屋のFW富樫佑太、攻守のキーマン・MF平野佑一(すべて3年)ら注目世代が最終学年となった國學院久我山に対し、暁星はMF渡辺創太主将や10番FW臼倉宏(ともに3年)ら昨年度の準優勝メンバーを多く残す陣容だ。試合は平野が体調不良明けで先発を外れながらも、徹底的にショートパスを動かす國學院久我山がボールを握り、暁星はカウンターからFW及川大翔(1年)や臼倉がスペースへ飛び出し、シュートを狙ってくる。
 
 試合の流れは個々の技術で勝る國學院久我山ペース。そして前半20分に先制点を挙げる。低い位置でボールを動かすと、右のCB内藤健太(2年)が突如、対角線へライナー性のミドルパス。一瞬のギアチェンジで対応が遅れた暁星に対し、コントロールから中央へ切れ込んだ松村が右足シュートを叩き込んで先制点を奪った。

 國學院久我山は23分にも左SB加藤寿弥(3年)の右足シュートがクロスバーを直撃。慌てずボールを支配しながらもグラウンダーの縦パスや松村のドリブルでPAへ潜り込むなど、悪コンディションでも技術の高さを発揮してチャンスをつくり出していく。

 後半には12分に渡辺のスルーパスからMF小田寛貴(3年)が決定機を迎え、14分には小田のパスから富樫が右足でゴールを襲う。その後も内藤が相手のプレッシャーをかわしてビルドアップをスタートさせるなど、技術の高さを活かして波状攻撃してくる國學院久我山の前に暁星は苦しい展開となった。それでも國學院久我山の李済華監督が「暁星の子たちはマジメに頑張る。正々堂々に激しい。ウチの子たちは(ボールを持った時に)落ち着きすぎていて、スピード感は向こうの子たちのディフェンスの方が頑張っていた」と振り返ったように、暁星は球際の激しいディフェンスで食い下がり、勝負を決める2点目を許さない。

 すると、粘る暁星に待っていた1チャンスが訪れる。後半33分、右サイドでDFのマークを外したDF須永裕輔(2年)がクロスボール。これを交代出場のFW安井迅郎(3年)が体勢を崩しながらも必死に頭で撃ち抜く。渾身のヘディングシュートはGKの指先を抜けてゴール右隅へ吸い込まれた。残り7分で生まれた起死回生の一撃。雄叫びを上げて喜ぶ安井に大興奮のチームメートが一気に駆け寄った。

 國學院久我山にとってはチャンスを活かしきれずに失点し、延長戦へ持ち込まれてしまう痛恨の展開。それでも後半30分から投入されていた平野と渡辺、富樫中心に迫力を増した攻撃で暁星ゴールへ迫っていく。そして互いに「PKか」と思わせるようなPAでの激しいプレーを応酬する中、國學院久我山が決勝点を挙げた。延長前半6分、自陣からのカウンターでFW飯原健斗(2年)が右サイドを一気に前進。そしてファーサイドへ送られたラストパスを松村が左足でゴールヘ叩き込んだ。

 國學院久我山は李監督が「(延長戦に入っても)残り20分だったらウチの子は1点取ることができる。それは信頼している。1つ勝因があるとしたら、ウチの方がチャンスが多い。その分相手よりも多く点が取れた」と語ったように、前後半計20分間の延長戦でも相手よりも多くチャンスを作り続け、再び1点をもぎ取り勝利。殊勲の松村は「プリンスリーグの桐蔭(学園)戦も1-4から3点返して追いついたりしている。(準決勝で敗退した)去年に比べると粘り強さとかついてきている。そういうところは強みだと思います」と胸を張り、「とにかく日本一目指していく。インターハイの時は悔いを残ってしまったので悔いが残らないよう戦って日本一を獲りたい」と力を込めた。
 
(取材・文 吉田太郎)
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