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[選手権予選]東北屈指の破壊力!06年度日本一の盛岡商が6発勝利で4強へ:岩手

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[10.23 全国高校選手権岩手県予選準々決勝 盛岡北0-6盛岡商 盛岡南公園球技場A]

 第92回全国高校サッカー選手権岩手県予選は23日、準々決勝2日目の2試合を行い、06年度日本一の名門・盛岡商と盛岡北との一戦は盛岡商が6-0で快勝した。盛岡商は27日の準決勝で不来方と戦う。

 破壊力は全国クラスだ。この試合が今大会初戦の盛岡商は1、2年生8人が先発を占める陣容。左MF千葉秀平(2年)が抜群のキレで左サイドを制せば、前線ではワンタッチのラストパスで決定機も演出する10番FW根子裕将(2年)とスピードとキープ力が魅力のFW大澤怜央(2年)の2トップが威力を発揮する。プリンスリーグ東北全18試合で得点を挙げ、3位に食い込んでいる実力通りのパフォーマンスだった。加えて太田浩史監督が「(人数は少ないが)3年生が出ているところで利いていると思う。出ているヤツもそうだし、応援しているヤツもそう。3年生が頑張ってくれている部分がある」と感謝するように、タレントの多い2年生たちを滝村勇樹主将と高橋周平のCBコンビや、中盤からの飛び出しでチャンスに絡んだMF滝野潤の3年生トリオがけん引。主力DFの落合秀哉(3年)をケガで欠いているが、久々の無失点勝利と会心の内容で準決勝へ駒を進めた。

 盛岡北は主将のFW浅利俊哉(3年)と179cmの1年生FW府金敏生が前線でボールを収め、ここから攻撃を展開。2トップを中心としたスピードのある攻撃で対抗していた。ただ盛岡商の猛攻を食い止めることは簡単ではない。前半7分、盛岡商は滝野が左サイドのスペースへボールを動かすと、ゴールライン際で追いついた千葉が振り向き様に右足でクロスボール。これに完ぺきなタイミングで飛び込んだ根子が右足ダイレクトでゴールヘ沈めて先制する。その後も両サイドからの攻撃で相手を圧倒。16分には左サイドで躍動する千葉が浮き球を素晴らしいタッチで止めてから一気に中央へ潜り込んで右足シュートを放ち、22分にも右MF工藤大輝(2年)の好パスから千葉が抜け出しかける。

 そして23分、中盤でボールを奪うと、MF吉田廉(2年)からパスを受けた根子がPAへループパス。これをコントロールした千葉が右足で決めて2-0とした。盛岡商は30分にも右サイドのスペースをついた滝野のラストパスを根子がスライディングシュートでゴールヘ沈めて3点目。齋藤重信総監督や太田監督が声をかけ続ける中で攻める盛岡商は37分にも自陣左サイドからボールを動かすと、根子のワンタッチのパスで抜け出した大澤が一気にPAへ侵入し、そのまま右足シュートをゴールヘ流し込んだ。

 盛岡北は岩手県を舞台に大ヒットしたNHK連続テレビ小説「あまちゃん」のオープニングテーマを歌いながら、「北高!」「北高!」とコール。試合開始前から熱い応援を繰り広げていた控え選手たちの声を後押しに反撃しようとする。そして1年生の10番MF高橋剛己やMF吉田翔(2年)、浅利が思い切ったシュート。相手をバタつかせることに成功していた時間帯もあったが、最後まで1点が遠かった。

 後半、前半の9本を大きく上回る16本のシュートを放った盛岡商は、16分にも根子のアシストから交代出場の1年生FW遠藤陸玖がゴール。さらに12分にも高橋のアシストから遠藤がヘディングシュートを決めて6-0で快勝した。太田監督は「ウチは去年一発目でやられていますから。(選手権が開幕し)あとはやれることしかできない。そういう形で準備しているので、その点は良かった。きょうは攻撃のいい形が出た。試合してきて得点する形が増えてきていると思う」と納得の表情。主将の滝村は「まず無失点で抑えられたのは良かったと思います。プリンスリーグでも無失点に抑えられたのは1試合もなかった。ディフェンスがきょうは安定していたと思います。攻撃は力があるのであとは守備だけ。あと何日間か修正できるところをしっかりして臨みたいです」と課題の守備面をより高めることを誓っていた。

 現仙台のU-18日本代表MF谷村憲一を擁した昨年は初戦(準々決勝)敗退。今年の世代も新人戦、全国高校総体予選でいずれも8強止まりと実力を出しきることができていない。ただ、チームは非常に非常に明るく「取られても取り返してやろう」という雰囲気のある好チームだ。滝村は「プリンスで3位になった自信もありますし、選手権に入って初戦を6-0という良いスコアで戦えた。前に前に明るく元気にやっていきたい。楽しくやっていれば自ずと結果も出てくると思う」と力を込め、根子は「盛商として、毎試合毎試合見ていて楽しいプレーだったり、自分たちが満足いくようなプレーができて勝つことができたらいい」と意気込んだ。レベルの高さを印象づけた盛岡商だが、まだ初戦。後半はチャンスで決めきれないシーンがあるなど課題もあっただけに、ここで気を緩めず、優勝だけを目指して戦う。

[写真]前半23分、ループパスをコントロールした盛岡商・千葉が2点目のゴール

(取材・文 吉田太郎)
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