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[選手権予選]0-2から逆転!走り勝ったルーテル学院が延長戦の末、4強進出:熊本

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[11.2 全国高校選手権熊本県予選準々決勝 熊本学園大附2-3ルーテル学院 熊本県民総合運動公園スポーツ広場]

 第92回全国高校サッカー選手権熊本県予選準々決勝が2日に行われ、2年ぶりの全国大会出場を狙うルーテル学院と総体予選準優勝の熊本学園大付との一戦は延長戦の末、ルーテル学院が3-2で勝ち、準決勝へ進出した。

 ルーテル学院の指揮を執る小野秀二郎監督が「前半2点取られたんですけど、(選手たちには)ボクの采配ミスと言いました。よく追い付いてくれた。選手たちに助けられました。この展開でひっくり返すなんてなかなかできないこと」とホッとした表情。前半を0-2で折り返す劣勢を挽回して走り勝ったルーテル学院が逆転勝ちした。相手のスピードある攻撃を警戒してダブルボランチを横に並べる守備重視の形で試合をスタートしたルーテル学院は、2年生の注目FW中原輝や10番MF竹脇大稀とMF田中雅人(ともに3年)を起点に攻めると、左MF浦崎広大(3年)がいい形でクロスへ持ち込むなど主導権の握り合いを制したかのように映った。ただ、25分、熊本学園大付は自陣から鮮烈なカウンター。FW柳澤海斗(2年)へ一度預けてから左タッチライン際を駆け上がったMF坂本幸亮主将(3年)が右前方のスペースへ絶妙なラストパスを送ると、柳澤が右足でゴールヘ押し込んだ。

 さらに30分、熊本学園大付は中盤での攻防戦から左中間を抜けだしたMF林慎太郎(2年)が左足シュートをゴール右隅へ流し込む。個で局面を打開する坂本や強さとスピードを見せつけた柳澤、右のMF田浦亮介(3年)、左の林と中盤にも技巧派並ぶ熊本学園大付は攻撃力の高さを発揮してルーテル学院から2点リードを奪った。一方、苦しい展開となったルーテル学院は後半開始から“切り札”FW蛭間匠(2年)を投入。「自分が入るということは点が求められていると思った。積極的にゴールを狙うプレーを意識しました」という蛭間が相手の逆を取るドリブルでPAへ近づくなど徐々に流れを引き寄せるが、熊本学園大付も坂本、柳澤のシュートでゴールを襲ってくる。ルーテル学院にとっては我慢の時間帯が続いた。

 それでも「1点取れば、絶対に自分たちのペースになるということはミーティングで確認していましたし、自信があったので、まずは1-2にするということを考えて後半臨みました」とCB冨士田武留主将(3年)が振り返った通り、慌てずにまず1点を奪い返すことに集中していたルーテル学院は18分、中原がPAへ入れたFKの処理を熊本学園大付が誤ったところをCB永田亮太(2年)が反応。「あそこで(相手よりも速く)身体が反応する。練習の賜物です」と指揮官も賞賛した右足でのゴールで待望の1点を奪った。

 さらにルーテル学院は畳み掛ける。直後、相手キックオフのボールを簡単に奪うと、一気に左サイドを突いたFW藤原奏哉(3年)のラストパスをファーサイドから飛び込んできたMF内田壱発(3年)が左足ダイレクトでゴールヘ流し込んだ。相手の隙を逃さなかったルーテル学院がわずか1分間で2点を奪って試合を振り出しに戻した。

 そして後半終盤、延長戦で光ったのは貪欲にゴールを守る姿勢とハードワーク。21分には熊本学園大付・柳澤のヘディングシュートがポストを叩き、36分には交代出場のDF工藤大史郎(3年)のダイビングヘッドがゴールを捉える。ただ、ここも藤原のスーパークリアによって勝ち越し機を阻んだルーテル学院に対し、熊本学園大付は攻撃のキーマンたちの運動量が低下。自慢の走力によって流れを引き寄せたルーテル学院は田中や竹脇が思い切って前線へ飛び出すと、竹脇のミドルシュートや中原の左足シュートで相手ゴールを脅かす。そして2-2で突入した延長後半開始直後、中央から竹脇がPAへ向けて蹴りこんだ絶妙なFKが相手DFのオウンゴールを誘い、逆転に成功した。

 ルーテル学院は試合終了間際にロングスローを操る主力SB木村亜聖(3年)が2枚目の警告を受けて退場するアクシデントも、ラストプレーで熊本学園大付・坂本が放った右足FKがゴールをわずかに外れたところで試合終了。ルーテル学院が逞しい戦いぶりで苦戦を逆転で制した。主将の冨士田は「前半2失点してしまって少し慌ててしまったんですけど、今まで自分たちがやってきたことを信じてやった。運動量が落ちなかったことが良かったと思いますし、相手が少し足が止まっていってくれたのが良かった」と語り、蛭間は「ベンチにいて0-2で危ないなと思っていたんですけど、チーム全体であきらめないでやれば勝てるということは証明できた。これからやっていく自信になったと思います。これからひとつずつ先を見過ぎずに1試合1試合全力で勝ち進んで行けたらいい」と誓った。2年ぶりの全国へ。4年前の全国大会で得点王を獲得したFW山本大貴(現駒澤大、仙台内定)のような強烈な個はいないが、この日同様に1点差の厳しい試合をものにし続けて歓喜の雄叫びを上げる。
 
(取材・文 吉田太郎)
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