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ダメ押し弾の國學院久我山MF渡辺夏彦「ゴールにこだわった」

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[11.16 全国高校選手権東京都予選B決勝 駒澤大高 0-4 國學院久我山 味フィ西]

 試合時間は残り15分、「セーフティーリード」と言える3点差がついていた。それでも、國學院久我山のMF渡辺夏彦のプレーからは、強烈に得点を欲していることが伝わってきた。この試合、U-18日本代表候補の渡辺を擁する國學院久我山の中盤は、本来のパスワークを見せることができていなかった。試合後に、李済華監督が「今日は少し中盤が良くなかった。イージーなミスがあった」と認めたように、駒澤大高の守備にも苦しめられた。特に渡辺、MF小田寛貴の両センターハーフに対するマークは厳しく、複数のDFに囲まれることが多かった。

 そのマークがようやく解けたのは、3点目が入ってからだった。試合の多勢が決まった中、駒澤大高の守備に綻びができはじめると、渡辺は持ち味の技術を活かしてゴールに迫っていった。そして後半28分、PA内でのドリブルで守備を外した背番号7は、右足でゴールネットを揺らした。ゴールを決めた渡辺は、何かから解放されたかのように、チームメイトの待つバックスタンドに向かって駆けて行った。

 1年時に続き、2度目の選手権出場を決めた渡辺に真意を尋ねると、「もちろんチームの勝利が大前提ですが」と前置きしたうえで、「正直に言うと僕は今日、ゴールを取ることにこだわっていたんです」と明かした。

「僕が点を取った試合で、負けたことがほとんどなかったので。僕が点を取ることで、チームの勝利に貢献できると信じていたので、ゴールには相当こだわっていました。ゴールを決められたときは、最高にうれしかったです。でも、その前にも1本チャンスがあったので、今度はそこを決めきれるようにしたいです」

『自分が点を取れば、全国に行ける』。3点のリードを得てもなお、貪欲なまでに彼を突き動かしていたのは、そんな自分に課した使命だった。強豪に4-0という大差を付けたうえで全国への切符をつかんだ渡辺は「日本一は、獲りに行きます」と、高らかに宣言した。

「日本一を獲りに行くのが、今年の最終目標です。そこを見据えながら、いかに一戦一戦、自分たちのサッカーをやることができて、勝っていけるか。2年前に選手権に出たときは『まずはベスト8』という目標を掲げていましたが、今年は最初から日本一を獲りに行きます。その手応えもありますよ。今日のような勝負強さもそうですし、ショートパスだけでなくロングフィードだったり、ロングシュートだったり。いろんなバリエーションがあることも、今年のチームの強みだと思います」

 18日の抽選会で1回戦を引けば、東京B代表となった國學院久我山は12月30日に国立競技場で行われる開幕戦を戦うことになる。『夏彦』という名の冬の主役候補は、2年ぶりとなる全国の大舞台で、どんなプレーを見せてくれるだろうか。

(取材・文 河合拓)
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