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[MOM970]星稜MF平田健人(2年)_警告恐れず小屋松を封じたエースキラー

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.11 全国高校選手権準決勝 星稜4-0京都橘 国立]

 エースを封じ込めた。4-0の大勝で悲願の決勝進出を果たした星稜(石川)。4ゴールと爆発した攻撃陣の一方で、京都橘(京都)のFW小屋松知哉(3年、名古屋グランパス内定)をマンツーマンでマークしたMF平田健人(2年)の存在が際立っていた。

 河崎護監督も「彼が一生懸命、献身的に守備をしてくれたことが相手のリズムを出させなかったと思う」と称えた“エースキラー”。昨年12月16日に行われた高円宮杯プレミアリーグ参入戦2回戦では京都橘に1-5で大敗していたが、このときは途中出場だった平田が小屋松を徹底マークし、京都橘の攻撃力を半減させた。

「小屋松はスピードもテクニックもある。自分一人で止めようと考えたらやられていたと思う。後ろのCB2人もサポートしてくれた。2人を信じて、前に行ってつぶすことだけを考えたら楽になった」

 基本的には平田がほぼマンツーマンで小屋松に付いたが、流れの中で自陣深い位置まで入り込まれたときやサイドに流れたときにはうまくDF寺田弓人(3年)とマークを受け渡しながら対応。惨敗した参入戦の教訓を生かした。

「小屋松がどんな動きをするか、どんな癖があるか、映像を何度も見た。何度かやられそうなシーンもあったけど、周りが助けてくれたおかげで、自分の力になった」。前半44分には相手陣内でカウンターに出ようとする小屋松をファウルで止め、イエローカードを受けた。それでも「イエローカードをもらった瞬間に切り替えた。ここで引いたらやられる。(もう1枚もらって)退場になったら仕方ないと思った」と、臆することなくハードな守備を続けた。

 5日の準々決勝・修徳戦でも警告を受けていた平田にとって、これが累積2枚目のイエローカードだった。勝っても決勝は出場停止になる。だが、「試合中はそんなことは考えなかった」と言う。平田が先発したのは修徳戦に続いて今大会2試合目。2回戦、3回戦はいずれもMF鈴木大誠(2年)が先発していた。その中で平田をマンマーク役で先発させた狙いについて、河崎監督はこう説明する。

「鈴木が3回戦に先発したあと、ホテルに戻ってきて体調を崩した。熱が出て、2日間練習できなかった。5日(修徳戦)はどうしようと思っていて、そこで平田を使った。たまたま修徳も相手のエースがトップ下で、平田をつぶし役に使った。それが彼にとっての運命だった」

 修徳戦でも4-2-3-1のトップ下に入ったMF田上真伍(3年)をケアした平田がうまく相手の起点をつぶし、0-0からのPK戦勝利に貢献。そのイメージが平田にも河崎監督にもあった。「今日も迷わず彼を出した」という河崎監督は、警告を1枚もらいながらもフル出場させたことに関し、「彼の役割は今日を勝ち切ることだった。2枚目をもらって10人対11人になる心配もあったが、彼が次、出られないこともあって、最後まで彼にやり切らせたいと思った」と語った。

 初優勝を懸けた決勝戦が出場停止となる平田だが、その表情に悔いはなかった。「今日の自分は仕事をしたと思っている。満足はしていないけど、やれることはやったと思う。あとは決勝に出る選手に任せて、自分はサポートしたい。自分がいなくてもやってくれると信じている」。自分に任された任務は十二分にまっとうした。あとは外からチームを支え、仲間に託すだけだ。

(取材・文 西山紘平)

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