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PK2本の前橋育英が4戦連続無失点で4強へ!鉄壁ディフェンスで3戦13発の滝二を完封

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前橋育英は前半22分にMF長澤昂輝(6番)のPKで先制した

[1.5 全国高校選手権準々決勝 滝川二高0-2前橋育英高 フクアリ]

 第95回全国高校サッカー選手権は5日、準々決勝を行い、フクダ電子アリーナの第2試合では前橋育英高(群馬)が滝川二高(兵庫)を2-0で下し、準優勝した14年度大会以来、2年ぶりの4強入りを決めた。7日の準決勝では佐野日大高(栃木)と対戦する。

 ともにここまで3試合を戦い、いずれも無失点で勝ち上がってきた両チームの対決。前橋育英の山田耕介監督が「滝二はこの3試合、すべて開始10分以内に点を取っている。最初の10分は蹴り合いになってもいいから、無理につなぐなと指示した」と振り返るとおり、静かな立ち上がりとなった。

 均衡を破ったのは前橋育英。前半21分、DF後藤田亘輝(2年)の右クロスをFW人見大地(3年)が頭で落とすと、ゴール前で仕掛けたMF長澤昂輝(3年)が滝川二のDF今井悠樹主将(3年)に倒された。特にPKキッカーは決めていないという前育。「自分で蹴りたかったんじゃないですか」(山田監督)と、PKを獲得した長澤が自らド真ん中に決め、今大会無失点を続けていた滝二ゴールをこじ開けた。

 前橋育英はここまで堅守を支え、正確な左足フィードで攻撃の起点にもなっていたセンターバックのDF角田涼太朗(2年)が累積警告で出場停止。3回戦・遠野戦(1-0)後には山田監督も「あいつがいないときつい」と思わず漏らすほどだったが、今大会初先発となったDF小山翔(3年)が2年生最終ラインに入って奮闘した。3戦13発の滝二攻撃陣に体を張って対抗。DF松田陸(2年)とのコンビで中央を固めると、GK月田啓(3年)も守備範囲の広さを見せ、チャンスらしいチャンスを与えなかった。

 先制点で勢いづく前橋育英は前半26分にも高い位置からのプレッシングでFW飯島陸(2年)がボールを引っかけ、自らフィニッシュまで持ち込んだが、GK樫野智哉(2年)が体を張ってセーブ。同40分にも飯島が右サイドからドリブルで切れ込み、左足でシュートを打ったが、GKの正面を突いた。

 1点リードで折り返した後半も前橋育英のペースが続いた。後半11分にはMF高沢颯(3年)のスルーパスに飯島が抜け出すが、シュートは1対1でGK樫野に阻まれる。同15分には高沢の強烈なミドルシュートがクロスバーに当たった跳ね返りを飯島が押し込んだが、飯島の位置がオフサイドだった。

「2点目がなかなか入らなくて大変だった。2点目を取れずにカウンターで1点取られてPK戦で負けるというのは何回も経験してきた」。山田監督の脳裏には、そんな嫌なイメージが「ずっとよぎっていた」という。滝川二は後半16分にMF辻本竜(2年)、同19分にFW本田周作(3年)を投入。攻撃陣を入れ替えながら反撃を狙うが、前橋育英の守備陣は最後まで集中を切らさなかった。

 迎えた後半36分、前橋育英はPA内で仕掛けた人見が今井に倒され、PKを獲得する。2度目のPK献上となった今井は2枚目のイエローカードで退場。このPKを人見が自ら決め、2-0と勝利を決定づけた。滝川二は後半40分、MF持井響太(3年)が右足で直接FKを狙うが、ゴール右へ。散発のシュート5本に終わる完敗だった。

 4試合連続の無失点で4強入りを決めた前橋育英だが、山田監督は「たまたまゼロで終わっているだけ。これまでの試合で“やられた”というのは何回もあった」と、GKを含めた守備陣の奮闘に運も味方していると謙虚に話すが、攻守にバランスの取れた安定感が光っている。悲願の全国制覇まで、あと2つ。2回戦で夏の王者・市立船橋(千葉)を破るなど勢いに乗る“タイガー軍団”の前に障害はない。

(取材・文 西山紘平)

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