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「情熱はまだまだ」“老将対決”70歳本田・流経大柏が72歳小嶺・長崎総科に快勝、3年ぶり4強へ

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[1.5 高校選手権準々決勝 長崎総科大附高0-3流通経済大柏高 駒場]

 第96回全国高校サッカー選手権の準々決勝が5日に行われた。浦和駒場スタジアムの第2試合では流通経済大柏高(千葉)が長崎総合科学大附高(長崎)を3-0で下し、3年ぶりとなる4強に勝ち上がった。6日の準決勝では矢板中央高(栃木)と対戦する。

 72歳の小嶺忠敏監督率いる長崎総科を下した流経大柏。70歳の本田裕一郎監督は「小嶺先生の背中を追いかけてきた。私は情熱がなくなったら終わりだと思っている。小嶺先生はまだまだお持ちなので、負けないようにもう少し頑張ります」。“老将対決”を制した本田監督は、先輩の健在ぶりに大いに刺激を受けていた。

 試合は互いに慎重に入った。長崎総科が前半8分に右サイドからのDF岩本蓮太(3年)のロングスローが直接ゴールネットを揺らす場面はあったが、規定によりゴールではなく、流経大柏のゴールキックでリスタートされた。

 それ以外で特に大きな動きがなかった前半をスコアレスで終えた試合だが、後半に入るとすぐにスコアが動く。4分、右サイドからDF近藤立都(3年)がロングスローを入れると、ゴール前でこぼれる。これをDF関川郁万(2年)が右足で豪快に蹴り込み、流経大柏が先制に成功した。

 長崎総科も後半10分にCKをFW西原先毅(3年)がヘディングで合わせる惜しいシュートを放ったが、枠左に外れる。

 すると直後のプレー、流経大柏はゴールキックが自陣まで飛ぶとFW安城和哉(3年)がヘディングで繋いでMF加藤蓮(3年)に入る。加藤はワンタッチループで裏に出すと、MF菊地泰智(3年)が左足でGKの頭上を抜くシュートを蹴り込む流れるような攻撃で、リードを2点に広げた。

 さらに流経大柏は後半40分。MF金澤哲流(3年)の浮き球に反応した途中出場のFW熊澤和希(2年)が抜け出してゴールネットを揺らす。結果的には3-0の快勝で、流経大柏が埼玉スタジアム行きを決めた。

 長崎総科は卒業後のセレッソ大阪への入団が内定しているFW安藤瑞季(3年)が累積警告で出場停止。この日は応援スタンドから仲間を信じて声援を送った。敵将の本田監督も「それで勝ったというのも嫌だし、向こうもそれで負けたと言われるのも嫌だし、ちゃんと出してあげたかった。かわいそうだなと思う」と無念を思いやる。

 流経大柏としては3試合連続完封。好守が噛み合って、10年ぶりの優勝、夏のインターハイとの2冠にまた一歩前進した。「無失点が課題だったので大きい。良かったと思います」と手ごたえを語る本田監督。準決勝の相手、矢板中央のベンチには元帝京高監督で、現在は矢板中央のアドバイザーを務める古沼貞雄氏が座っていることもあり、「久しぶりにやれるので楽しみですね」と次なる“老将対決”に目線を向けた。

(取材・文 児玉幸洋)

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