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[MOM2692]名古屋GK木村陽介(3年)_「最初は何を言っているのか…」トルコ出身GKコーチに学んだ成果

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勝利を喜ぶ名古屋高GK木村陽介(3年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.10 選手権愛知県予選準決勝 中京大中京高0-1名古屋高 パロ瑞穂]

 中京大中京高の連覇を阻止したのは、トルコ人コーチに鍛えられてきた名古屋高の守護神だった。同校史上初めての愛知県大会準決勝、GK木村陽介(3年)は次々に襲いかかるロングボールを正確に処理。完封勝利で悲願の全国出場まであと1勝とし、「ずっと苦しかったけど、チーム全員で身体を張れた」と笑顔を見せた。

 パンチングで跳ね返しても、キャッチングで逃れても、次々に飛んでくるハイボール。「練習から一番高いところで取れるようにしているし、このタイミングなら……という形を持っている」という木村でさえ、長身選手を前線に配備した中京大中京の猛攻には「苦しかった」と本音をのぞかせた。

 だが、一本たりとも制空権は譲らなかった。「日本の選手は取りに行くからボールを落とすけど、彼は手の使い方がうまく、ヨーロッパレベルの対応になっている」と評したのは山田武久監督。そんなスキルはトルコ出身のGKコーチであるセバ・ハッティン氏の指導の賜物だという。

「入学してイチから直されました。中学までやってきたことと全然違うことを言っているコーチなので。日本語がそんなに得意じゃないこともあって、最初は何を言っているのか分からなかったけど、練習をやっていくうちに分かるようになってきました」。過去をそう振り返った木村は、“違い”を次のように説明する。

「中学まではポジションがズレた時に『急いで、早く』というイメージだった。ただ、コーチは『ゆっくり、落ち着いて』と言っていた。あと、ステップがズレた時にバタバタと刻むような感じで対応していたけど、一気にジャンプするように詰めて、止まってから対応するように言われた」。

 アドバイスに耳を傾けながらトレーニングを積んできた木村は徐々に「動きとシュートストップが変わってきた」という実感を得るようになり、「そこからは言いなりですね……って言ったらアレですけど」と冗談交じりに信頼を表現。この日はロングボール処理だけでなく、至近距離からのシュートストップも見せ、「味方とうまく守れた」と満足のいく出来だったようだ。

 準決勝の勝利により、全国大会に王手がかかった。「次が本当に大事なので、今日の良かったプレーは今日で終わり。次は今日以上のプレーをできるように頑張っていきたい」。現状に満足しない守護神は頼れるコーチとの2人3脚で夢舞台を目指す。

(取材・文 竹内達也)
●【特設】高校選手権2018

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