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埼玉3回戦のビッグマッチ。個の強さ際立つ昌平が武南を1-0撃破!

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後半25分、FW小見洋太の決勝点を喜ぶ昌平高イレブン

[10.26 選手権埼玉県予選3回戦 武南高 0-1 昌平高 昌平高G]

 ビッグマッチは昌平が制す――。第98回全国高校サッカー選手権埼玉県予選3回戦が26日に行われ、関東大会県予選優勝の武南高と県新人戦優勝の昌平高が激突。昌平が1-0で勝ち、準々決勝進出を決めた。

 ベスト8入りを懸けた注目カードは、個の強さ際立つ昌平が強敵を突破した。攻撃力に定評のある両雄の戦いは、立ち上がりから昌平の攻撃時間が多い展開に。日本代表FW鎌田大地を兄に持つMF鎌田大夢(3年)や日本高校選抜MF須藤直輝(2年)らがドリブルでバイタルエリアへ侵入し、アーリークロスにFW小見洋太(2年)が鋭く飛び込むなど先制点を狙う。

 対する武南は守備の時間が増えていたが、ゴール前では隙を見せず、決定打を打たせない。ただし、19分にアクシデント。相手FWの抜け出しに対して身体を投げ出して前に出たGK吉田陸斗(2年)が交錯し、負傷退場してしまう。

 昌平はサイドからのクロスやCKの本数を増やして相手に圧力をかけるが、武南は緊急出場となった190cmGK渡辺海斗(3年)が高さを活かして奮闘。また、タイトなマークで相手の突破を封じていたCB渋谷亮輔(2年)やCB宝満朋矢(3年)が中心となってゴールを守り続ける。

 そして、前線でFW大谷涼太(3年)やMF青野翔太(3年)が起点を作って攻め返すと、強烈な左足を持つ左SB安野天士(3年)のミドルシュートやクロスが応援席を沸かせていた。武南は前半アディショナルタイム、右ショートコーナーからクロスをCB宝満朋矢(3年)が合わせるがわずかに枠外。アクシデントを感じさせないような戦いを後半も見せていた。

 だが、昌平の個の強さ、攻撃力が武南を凌駕する。昌平は後半開始からMF紫藤峻(3年)を左サイドに加えると、よりボールを支配する時間が増加。ドリブル、コンビネーションで次々とPA付近のスペースへ侵入していく。

 武南は相手の奪い返しの速さもあって奪ったボールを繋げず、クリアの連続に。昌平はこのボールを予測力光るMF柴圭汰(2年)がことごとく回収し、前線まで入ったボールもCB柳澤直成(3年)が奪い取るなど相手に攻撃機会を与えない。

 武南の内野慎一郎監督は「ゲームを作る時間が短かった。時間を作る昌平とクリアになってしまう(武南との)差は大きい」と指摘。ドリブル、パスでボールを運ぶことのできる選手が揃う昌平は、攻撃の時間を増やし、危険なゾーンに侵入し続けていた。そして、後半25分にスコアを動かす。

 相手のクリアを右サイドで拾った昌平は須藤がPAの小見へパス。右中間、ゴールへの角度がほとんど無い位置で受けた小見が、右へのターンから右足シュートをニアサイドへ突き刺す。2年生ストライカーのスーパーゴールで昌平が1-0とした。

 武南も反撃。大谷や青野、MF宇田川拓真(3年)が狭い局面でキープ、DFを剥がして前進しようとする。だが、相手のDFラインを攻略するまでには至らない。40分には大谷が抜け出しかけたが、昌平CB柳澤が阻止。後半、前線の献身的なディフェンスも含めて相手をシュートゼロに封じた昌平が、強豪対決を制した。

 2年生ながら昌平のキャプテンマークを巻いた須藤は、「今年は結構個が突出している選手が多い。チーム全体として個を活かしつつも、チームとしてもっと良いプレーを求めて行こうというのがあります。個で運べる選手が多いということは相手にとっても嫌ですし、自分たちにとっても楽、安心感があります」と分析。先発メンバーだけでなく、後半に流れを傾けた紫藤やこの日は出場機会が無かった注目FW大和海里(3年)、1年生MF篠田大輝らベンチにも強力なタレントが控えており、対戦相手が彼らを全て封じることは容易でない。

 昌平はインターハイ予選で2回戦敗退。そのため、今大会は1回戦からの登場で、非常に厳しい組み合わせを強いられている。2回戦では昨年度決勝の再戦となった浦和南高に逆転勝ち。この日も名門・武南を退けたが、準々決勝ではインターハイ予選で苦杯をなめた正智深谷高が待ち構える。

 決勝戦のような試合が続くが、それでも藤島崇之監督は「地に足をつけて戦える状況になっている。色々なチームとやらせてもらう中でチャレンジャー精神を持って臨むことができるのはチームの成長に繋がる」と前向きだ。須藤も「倒しがいがあるというか、一つ一つ倒すたびに強くなってきていると思うので、集中して戦っていきたいと思います」。課題ももちろんあるが、実力は全国上位にある印象。強敵との対戦を乗り越えるたびに強くなって埼玉制覇、目標の日本一を実現する。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019

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