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[MOM3109]高川学園MF内田裕也(3年)_苦しんだキャプテンが大舞台で値千金の決勝ゴール!!

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キャプテンMF内田裕也が大舞台で値千金の決勝ゴール(写真協力=高校サッカー年鑑)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.31 選手権1回戦 北海0-1高川学園 等々力]

 高川学園高(山口)の江本孝監督は、母校の多々良学園高(2006年9月に高川学園に校名変更)、そして福岡大でもキャプテンを務めた経験がある。だからか、現キャプテンのMF内田裕也(3年)に厳しい。「キャプテンができるのは一人だけ。リーダーシップをとれとずっと言い続けてきました。まだ伸びる選手なので」。

 厳しくするのには理由がある。今夏のインターハイ県予選ではベスト4敗退。選手権を目指しチームを立て直す中で、所属するプリンスリーグ四国でも結果が出ない日々が続いた。「夏以降、9月などにキツい時期がありました。結果が出ずチーム内ではいろいろなことがあって。そんな時チームの悪い部分や練習へ取り組む姿勢など、みんなで本音で話し合って」と内田が思い返すように話す。

 小・中学校とキャプテンだった。やれる自信は少しはあった。だが、そこは名門・高川学園。「厳しいのは分かっていたので不安はありました」と認める。「言われ続けたのは『チームの状態が悪い時に、どれだけ自分がチームを引っぱっていけるか』ということ。苦しい時に声を出して、相手ペースでもガムシャラにプレーしてチームに活気を出させるように心がけています」。

 この試合も相手のペースになりかけていた。そんな中の後半9分、左CKからのボールを右足インサイドで合わせてチームを勇気づけるゴール。「信じて走りました。相手のマークが降り切れて足元ドンピシャのボールで。いつもはファーの大外から折り返すケースが多かったのですが、あの場面、1点が取れたらチームが助かると考えてゴールを狙おうと中に入っていきました」。

 自分の得点でチームを勝たせられたことが嬉しい。「1年間厳しいことをやってきて、また人生でもこんな素晴らしいピッチでプレーできることがなかったので、ワンプレーごとを噛みしめていました。監督に言われて成長できた。キャプテンをやっていてよかったと思います」。

 選手権は2年前も経験している。しかし、その時とは立場も経験値もまったく違う今回の選手権。1試合で一人の選手を大きく成長させるのが選手権だ。「まだ伸びる」。監督の期待に応えてどこまで成長できるか。内田裕也は今、大きなチャンスを手にしている。

(取材・文 伊藤亮)
●【特設】高校選手権2019

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