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[MOM3619]市立長野FW橋本泰知(3年)_「マジで助かった」エースの存在。無得点も高い技術力発揮

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市立長野高FW橋本泰知は抜群の技術力を発揮し、勝利に貢献

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.30 選手権長野県予選準決勝 市立長野高 2-0 松本国際高 サンプロアルウィン]

 技術力を活かしたポゼッションサッカーが売りである市立長野高の中でも、FW橋本泰知(3年=AS長野パルセイロU-15出身)のプレーはひと際目を引く。自信を覗かせるのは、ドリブルからのチャンスメーク。長野U-15の主力だった橋本への評価は高く、高校入学直後からAチームの一員としてプレーした。

 迎えた高校生活3年目は、FW新井光(現鳥取)も背負った背番号10を託され、エースとしての役割を担った。「1試合通して、いつも自分たちがやっているサッカーがあまり出来ず、苦しかった」と振り返るこの日の試合は、ゴールこそ奪えなかったが、チームへの貢献度は抜群。試合後は、多くのチームメイトから、「お前がいて、マジで助かったわ」と声を掛けられたという。

 その理由は、持ち前のキープ力にある。戦前の予想以上に松本国際が前から奪いに来たため、持ち味である自陣からのビルドアップが立ち上がりから上手く機能せず、「ずっと後ろでボール回している状態だった」(橋本)。相手エリアに持ち込めても、簡単に奪われていては失点リスクが高まるため、DFが前に出ていけない。

 そうした中で、ボールが持てる橋本の存在は大きく、主将のDF尾崎裕人(3年)はこのように振り返る。「橋本は足元のテクニックが上手いので、ボールを失わないでキープしてくれる。すぐ失っちゃうと相手に奪われて攻められてしまうけど、あそこでキープして失わないでいてくれているので、自分たちが前に出てくことも出来る」。

「今日みたいなシビアなゲームになると『彼の所で最後結局ボールが落ち着いちゃうのね』と思った」と続けるのは芦田徹監督。シャドーの位置でボールを引き出した橋本は、高い技術力を活かして周りが攻撃に移る時間を作った。上手く前向きでボールを受ければ、中央からドリブルで持ち運んで対角へと展開。DF吉谷遥輝(3年)の右クロスを引き出した。

 周囲から高い評価を受けながらも、橋本自身の評価はあまり高くない。「ちょっとしたミスというのが結構多かった。シュートまで行くというのも自分の仕事でもあるし、そこら辺をもう少しやらないとなって思いました」。実際、チームの攻撃を円滑にしたが、シュート0本で終わったのは反省点だ。

 ただ、得点への意欲はこれまで以上に高まっている。準決勝で敗れたインターハイ予選は指摘されていた決定力不足が改めて課題となった。チームの武器であるテンポの良いポゼッションでPAまでボールを運べるが、シュートを打てないで終わるのが多かった。そのため、以降は紅白戦などでシュートを意識して、改善に励んできた。選手権予選の初戦となった3回戦の篠ノ井高戦で4得点を奪えたのは、そうした取り組みの成果だろう。

 決勝で当たるのは、同じ長野市の長野日大高。インターハイの北信予選は決勝で負けている相手だ。「夏の借りを返したい。皆が自分たちのスタイルを貫いて、見ている人たちも楽しめるようなサッカーをして勝ちたいなと思います」と話す橋本の活躍が結果を大きく左右するのは、間違いない。

(取材・文 森田将義)
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