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目標は兵庫、関西で一番のキャッチの質。夏までBチームの172cmGK多田健司が質の高い守りで滝川二に勝利もたらす

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後半20分、滝川二高GK多田健司がファインセーブ

[11.3 選手権兵庫県予選準決勝 滝川二高 2-1 神戸弘陵高 三木陸上]

 172cmのGKがポジションを掴んだのは、この秋、選手権予選直前になってからなのだという。夏まではBチームの一番手。だが、GK多田健司(3年=マイスターSUMA FC出身)はAチームのGKが受験や怪我で不在だった関東遠征でアピール。187cmの大型GK阪本圭裕(3年)やGK高橋大和(3年)ら才能豊かなライバルたちとの競争でも挫けずに努力を続けてきた守護神がこの日、滝川二高を救った。

 前半から印象的だったのはキャッチングの安定感の高さ。前半から神戸弘陵高の鋭いクロスやシュートが飛んできていたが、多田は乱れることなく一つ一つ的確に処理していく。ゴール前にこぼれ球を残さなかったことがチームにとって大きかった。

 後半は相手の攻撃が勢いを増す中、キャッチングとパンチングを使い分けながら無失点を続けていく。20分にはアーリークロスで抜け出したFW竹内悠真の至近距離からのシュートを「距離があんまりなかったのでトラップも浮いていたから、そこで詰めたらコースなくなるから。それも練習で色々なシーンを想定してやっているので練習が活きたと思います」とストップ。後半40分に3試合連続で失点してしまったことを悔しがっていたが、それでも彼の活躍が霞むことはない。

 強豪校のGKとしては小柄と言える172cm。それでも、「基礎のところは中学の時から意識していて、自分は身長がないから、基礎の部分を徹底してやらないといけない。普段からアップでキャッチングをやるんですけれども、その質は兵庫県、関西で一番を目指しています」。磨いてきた基礎技術、そして滝川二GKとして選手権日本一を経験している中尾優輝矢GKコーチの分析も、参考に止めることができたと本人は感じている。

 その多田について、中尾GKコーチは「(なかなかAチームでの出番がなく)シンドかったと思います。それでも、頑張って認められている。技術は物凄くあります」。亀谷誠監督も自信を掴んでプレーする3年生GKを評価していた。

 多田はこの日のもう一つの反省点について、ビルドアップやキックの精度を挙げ、改善する考え。決勝へ向けては「次はクリーンシート、ゼロに抑えて、チームで勝って全国に行きたいなと思います」と誓った。競争してきたライバルたちのためにも、決勝は無失点で勝つ。

(取材・文 吉田太郎)
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