beacon

遠くに見えた家族の「喜ぶ姿」。淡路島で人間として、選手として成長の相生学院FW村越優太が先制点

このエントリーをはてなブックマークに追加

前半14分、相生学院高FW村越優太(9番)が先制ゴール

[11.3 選手権兵庫県予選準決勝 芦屋学園高 1-2 相生学院高 三木陸上]

 全国大会への出場歴はなく、大きなスタジアムでプレーするのも初めて。「本当に緊張超えちゃってて、ブルブルって黙り込んじゃう感じだった」という。それでも、前半14分に相生学院高FW村越優太(2年=FCブランコ八王子出身)はイメージ通りのゴールでスコアを動かした。

 右SB吉村陽楽(2年)の右クロスをファーサイドで胸コントロール。「自分はクロス上がった瞬間に胸トラからのシュートがイメージできた」という背番号9は、トラップから大きく内側へ持ち込み、右足を振り抜く。渾身の一撃はゴール左隅を破り、先制点となった。

 興奮のあまり、どう喜んで良いか分からなくなったという。「どうしよう、どこ行こうと(笑)」。そして、逆サイドにある味方ベンチ、スタンドの方へ。視線の先には喜ぶ家族の姿があった。

「だいぶ遠くから見ていても、(スタンドで)ゴールしているのを喜んでくれていて……。とりあえず親に一番の喜びを伝えたかったです」。このゴールで緊張がほぐれたという村越は、チームのために献身的な動き。プレーヤーとして、人間的としても成長した姿を家族に見せることができた。

 小学生時代はサッカーと野球を両立。ピッチャーとして全国大会に出場するチームを倒したこともあるという村越は「野球の方が、自信がありました」と笑う。中学進学時にサッカーへ集中するようになったが、「私生活の甘さが出て……。自分は甘えている部分が中学の時あって、親元離れないと大人として生きていけないと」。高校では自分を変えるために兵庫県の淡路島にある神村学園淡路島へ進学し、その後チームメートとともに相生学院へ転校した。

 家族の後押しもあってスタートした淡路島での生活。自立したことで、私生活の面は変化させることができたという。また、プレーヤーとしても成長することができたと感じている。

 当初は「FWとしてイマイチな選手だった」と分析する村越は、「(武器を)一個磨くのではなく、全体を磨いてひたすらトップに合う選手を目指してきました」。得点、チャンスメーク、組み立て、守備……全てができるFWへ。身体的な強さもある村越は「全体のプレーを見て欲しい」という選手に成長した手応えを持っている。

 憧れの存在はFWルイス・スアレス(アトレティコ・マドリー)で、毎日プレー動画を見ていたというほど。貪欲にゴールを目指す一方、チームのためにプレーすることを大事にしている。「(決勝でも)自分の点決めたいとか色々ありますけれども、まずはチームのことを考えて、プラスチームのために動いたら必ず結果も出てくる」。7日の決勝も焦れずにチームのために戦い、勝って、ゴールを決めて、応援してくれる家族やチームメート、地元の友人たちを喜ばせる。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2021
▶高校サッカー選手権 地区大会決勝ライブ&アーカイブ配信はこちら

TOP