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鉄壁の守備で4試合連続完封!29年ぶりの選手権出場を目指す大分工が鶴崎工に快勝!

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大分工高は4戦連続完封で29年ぶりの全国へ王手!

[11.6 選手権大分県予選準決勝 大分工高 2-0 鶴崎工高 大分スポーツ公園サッカー場]

 選手権出場は大分高と並んで県内最多タイの11度。1992年度の選手権以降は全国舞台から遠ざかり、県予選決勝にも2001年度を最後に勝ち残れていなかった。古豪復活へ――。多くの期待が集まった一戦で、選手たちが最高のパフォーマンスを見せた。

 6日、第100回全国高校サッカー選手権大分県予選の準決勝が行われ、鶴崎工高と対戦した大分工高は磐石の試合運びで勝利を手にし、14日の決勝で中津東高と対戦することが決まった。

 試合の流れを決めたのは、前半開始早々の先制弾だった。右サイドを突破したMF横野陸斗(2年)のクロスから、MF高橋海翔(2年)がヘディングでネットを揺らす。「イメージ通りの形から得点が取れて、そこからリズムに乗れた」(友成義朗監督)。指揮官の言葉通り、電光石火の一撃がゲームプランを明確にする。

 守備に重きを置きながら、隙あらば2点目を目指す。以降はセンターバックのDF山本玲央(2年)とDF平松寛大(2年)を軸に堅守を構築。一進一退の攻防が続く展開でも集中力を切らさず、良い形でシュートを打たせない。「わずかに空いたコースがあっても、足を出してくれる。自分が対応する範囲が限定されることはありがたい」とはキャプテン・GK増田海斗(3年)の言葉。自分たちを上回る8本のシュートを前半だけで打たれたが、CBコンビが身体を投げ出して多くのピンチを防いだ。

 友成監督が「DFラインの選手が頑張ってくれた。それが勝因」と言い切った守備陣のパフォーマンスは、後半になっても落ちない。時間の経過とともに足が止まり、鶴崎工のMF荻本響(3年)に右サイドを打開される場面が散見。ゴール前にボールが入る場面も少なくなかったが、要所を締めて相手に得点を与えない。

 苦しい時間が続いたが、守備一辺倒にならず、攻撃を仕掛けられるのも今年の強み。遅攻と速攻を使い分けながら、サイドから攻め込んだ。すると、後半26分に決定機をモノにする。MF工藤渓(2年)が3列目からゴール前に入り、豪快に右足で蹴り込んでリードを広げた。

 終盤は前線に上がった鶴崎工CB瀬戸口智哉(3年)の高さに手を焼いたものの、守備陣が気持ちの籠ったプレーで空中戦に競り勝つ。「良い守備から良い攻撃を仕掛け、うまく得点ができた」(増田)。攻守で良さを出した大分工が2-0で逃げ切り、ファイナルに挑む権利を獲得。試合終了のホイッスルが鳴ると、選手たちは感情を爆発させ、ピッチに歓喜の輪が出来た。

 今年は下級生主体のチーム編成。それでも春先から手応えを掴み、特に夏前に掛けては攻撃陣の好調もあって勝利を重ねた。しかし、インターハイに出場した大分高と8月に行った練習試合で敗れると、チームの調子は一気に下り坂へ。県リーグ1部の後期は内容にスコアが結び付かず、選手たちも不調の理由を見つけられずに苦しんだ。

 当時を振り返り、増田は言う。

「特に何が変わったわけではない。だけど、得点は取れないし、守備でも失点を重ねた。何が悪いか分からないまま時間だけが過ぎて……。何かアクションを起こさないと勝てないと思っていたので、ちょっとずつキャプテンとして動いたけど、なかなかチームの調子は戻らなかった」

 以降も増田が友成監督と対話を重ね、指揮官の求めるスタイルをチームに伝えるために奔走。キャプテンの発信により、徐々に状態を上げて選手権予選を迎えた。

 その結果、チームは4試合で27得点を上げ、守備でも全試合で無失点。安定した戦いぶりで決勝の舞台まで駆け上がってきた。

「OBの方の期待もあるので全国に行きたい。よそいきのサッカーではなく、自分たちのサッカーをやれば、必ず決勝も良いゲームになる」(友成監督)

 舞台は整った。29年ぶりの選手権出場を勝ち取り、大分工の名前を再び全国に轟かせるだけだ。

(取材・文 松尾祐希)
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