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明秀日立の注目DF長谷川皓哉は“本当のタレント”になって、白星と評価の両方を勝ち取る

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明秀日立高CB長谷川皓哉は17日に初戦を迎える選手権茨城県予選を勝ち抜き、全国で自身の存在を示す

 必ず選手権に出て、自分の力を見せつける。岡山内定の194cmGK谷口璃成(3年)に注目の集まる明秀日立高(茨城)だが、DFラインにもJクラブが関心を寄せたタレントがいる。それは、CB長谷川皓哉(3年=FCジュネス出身)だ。

 身長は175cmほどだが、空中戦の強さは全国クラス。元々FWで1年時には選手権全国大会でもゴールを決めている才能だ。その後、チーム事情や、「負けたくない思いを献身性に変えられるのは彼の強み」(萬場努監督)という理由でポジションは最終ラインへ。現在はCBとして、ビルドアップ能力の高さや、SB時代に磨かれた対人守備での圧倒的な強さなどを発揮している。

 10月に開催されたU-16日本代表候補との練習試合では2ゴール。止めて、運べて、決めることもできるDFは、年下の逸材たち相手でも目立つプレーをしていた。Jクラブへの練習参加を経験している長谷川については、萬場監督も「ボクもトップレベルの中に入って行く資質は十分にあると思っています」と頷く。

 一方で、指揮官は「(本人とも話しているが、)高校生のレベルでは高い、強い、ボール扱いもできるのは分かるんですけれども、プロで高さをウリに飯を食っている選手と高さで対峙するとまだまだストロングになっていない」と指摘する。高校からのプロ入りを勝ち取ることができず、大学へ進学予定。本人は「全国だけでなくて、プロ・大学でも通用する基準でやっていかないといけない」と話すように来年以降、アンカーやSBのポジションに挑戦し、プロで通用するまでに武器を伸ばす意気込みだ。

 プロ入りこそ逃したものの、選手権の活躍次第で年代別日本代表や日本高校選抜に食い込んでいく可能性は十分にある。本人も「3月くらいにJヴィレッジカップで(神村学園高のU-18日本代表候補FW)福田師王、(京都橘高の浦和内定FW)木原励とマッチアップして、どちらも0-2、1-2で負けたんですけれども、競り合いとかは負けていないと思いますし、神村戦はボール持たれたけれど、ビルドアップも通用したので代表でも自分は戦っていけるのかなと思っています」と語る。

 目標である全国制覇のため、そして自身のためにも、まずは17日に初戦を迎える選手権予選優勝に集中。「大学にも繋げたいですし、個人的には高校選抜、今後代表とかに入れるチャンスへのアピールでもありますから、自分をもっと存分に発揮して、チームの勝利がかかっているという責任を負いながら一試合一試合大事に戦っていきたい」と力を込めた。
 
 インターハイ予選決勝は2-0からまさかの逆転負け。前半はほぼ完璧な守備を見せていたが、歯車の狂ったチームを立て直すことができなかった。延長戦ではFWに上がってゴールも決めたが、落胆は大きく、決勝後の一週間は周囲も気遣うほど。それでも、自分を奮い立たせて選手権へ向かってきた。

「そこからダメなところはダメと練習で厳しく伝えないといけないですし、フィジカルとかキツイ時こそ自分が前に出て引っ張って行こうと意識は凄く変わったと思います」。ピッチでサボっている人が出ないように強く要求。一緒に変わり、チームを引っ張ってくれている3年生たちに感謝する。

 昨年の選手権予選決勝で敗れた先輩たちの姿、泣き声は忘れていない。「去年の3年生の思いも背負っているというのは忘れないで、最後に後輩たちに全国連れて行ってあげて、良い思いができるような大会にしたいです」。萬場監督も「(長谷川は)1年生から経験があったりするけれど、チームへの影響力はまだ必要。“本当のタレント”になって欲しい」と期待する長谷川が、“本当のタレント”になって選手権でチームの白星と自身の評価の両方を勝ち取る。

(取材・文 吉田太郎)
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