[11.13 高校選手権栃木県予選決勝 矢板中央1-0佐野日大 栃木グ]

　矢板中央高MF大畑凜生(3年=大宮西カリオカFC出身)は替えのきかない中盤の要だ。栃木予選を制し、選手権まで約1か月半。「守備一つひとつにかける緩さ、隙をなくすところを突き詰めていきたい」。チームを引っ張り、日々のトレーニングに高い基準を求めて仕上げていく。

「疲れている中での『質』が試合の中で求められてくる。自分に厳しく、日々の練習から決め切るところだったり、質、強度にこだわっていけたらと思っています」

　昨年度から矢板中央のレギュラーを張る不動のボランチは球際の強度、ボール奪取力、空中戦の強さを武器にハードワークを完遂する。1年前は選手権4強入りに貢献した活躍ぶりから、優秀選手に選出された。「去年は守備で貢献する部分があったんですが、そこは継続しつつ、攻撃の部分でワンチャンスを作ったり、リズムを変えたりできるようになってきた」。佐野日大との決勝戦では相手の構え方を見て冷静にボールを動かすなど、ゲームコントロールの部分でも成長を遂げている。

　今年度は個人としても攻撃面でのレベルアップをテーマに掲げ、プリンスリーグ関東でここまでチーム最多の5得点を記録している。課題を克服し、得点に絡む力は向上しているが、「まだまだ突き詰めていかないといけない」と貪欲に進化を続けていく。

　目標は大卒プロ入り。矢板中央の先輩であるU-22日本代表MF松井蓮之(4年)は高校時代に同じボランチのポジションを担い、法政大を経て、来季の川崎フロンターレ加入を決めている。「話したことはないんですが、(松井の)試合を見ていると高校では守備を中心に、大学ではビルドアップ参加を見て、技術の面もお手本だなと思っています」。

　松井に続く飛躍が期待される矢板中央の“心臓”はチームを導き、悲願達成を目指す。「去年、青森山田に0-5でやられて、悔しい思いがあった。全国の借りは全国でしか返せない。高校ラストの代になる3年生を中心に、100回大会という記念の大会で、矢板中央として初めての日本一を成し遂げられたら」と決意を語った。

　昨年度3位の矢板中央は2回戦から登場。初戦でいきなりインターハイ準優勝の米子北高(鳥取)と対戦するほか、Bブロックは強豪校ひしめく激戦区となった。「自分たちは常に、全国の舞台ではチャレンジャー」と大畑。強度の高い試合をコントロールするには、判断の速さを意識。「蹴り合うシーンがある中でセカンドボールの予測、回収してからのプレースピードは自分のところが一番重要になってくる」と引き締めた。

(取材・文　佐藤亜希子)

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