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「負ける気がしない」PK戦で8強へ!桐光学園が2年連続4強の帝京長岡を破る

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桐光学園のGK吉田優翔(3年)が2試合連続でPKストップ。勝利の立役者となった(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[1.2 選手権3回戦 帝京長岡高 1-1(PK3-5)桐光学園高 等々力]

 第100回全国高校サッカー選手権は2日、各地で3回戦を行い、等々力陸上競技場の第1試合では帝京長岡高(新潟)と桐光学園高(神奈川)が対戦した。試合は前半23分に帝京長岡が先制するものの、後半23分に桐光学園がセットプレーから追いつき、PK5-3で競り勝った。桐光学園は4日の準々決勝で高川学園高(山口)と対戦する。

 桐光学園の鈴木勝大監督が「前半はセットの位置が低くて、相手に主導権を取られてしまった」と認めたように、前半は帝京長岡のペースで進んだ。帝京長岡は前半23分、縦パスをFW渡辺祐人(3年)がはたいてMF佐々木奈琉(3年)がPA内右からグラウンダーのクロス。逆サイドからフリーで走り込んだMF武原幸之介(3年)が右足で叩き込み、先制点を奪った。

 渡辺が前線で体を張り、MF廣井蘭人(2年)、MF三宅凌太郎主将(3年)らのパスでリズムをつくる帝京長岡に対し、桐光学園もMF田中英泰(3年)、MFベイリージャスティン勇誠(2年)の両サイドが積極的に仕掛けてチャンスをうかがうが、決定機をつくれないまま前半を折り返した。

 わずかシュート1本で前半を終えると、桐光学園のMF山市秀翔主将(3年)が「前半は相手のペースに飲み込まれてしまって、自分たちのサッカーをすることができなかった。ハーフタイムに監督から『このままじゃダメだぞ』というゲキも飛んで、後半は自分たちのペースでプレーすることができた」と振り返ったとおり、徐々に流れを引き寄せる。

 鈴木監督は「後半はボールを奪いに行く位置を上げたので、前半と後半のギャップから帝京長岡さんが少し慌ててくれて、ノッキングしてくれた」と指摘。敵陣でのプレーが増え、セットプレーのチャンスもつかみ始める。すると後半23分、桐光学園はDF寺内倖大(3年)の右CKからDF川角歓紀(3年)がヘディングシュート。これはGK佐藤安悟(2年)の好セーブに阻まれたが、こぼれ球をDF米山悠葵(3年)が左足で押し込み、1-1の同点に追いついた。

 一気に攻勢を強める桐光学園は後半30分にも寺内の左CKからセカンドボールをMF豊田怜央(2年)がヘディングで狙ったが、佐藤のビッグセーブに阻まれる。帝京長岡は後半38分、相手CKのカウンターからMF佐々木奈琉(3年)がドリブルで独走。自らフィニッシュまで持ち込んだが、右足のシュートは枠を捉え切れず、試合は1-1のままPK戦に突入した。

 桐光学園は2回戦の帝京大可児戦も0-1から1-1に追いつき、PK戦の末、勝ち上がってきた。「PK戦に関しては吉田がいれば本当に負ける気がしない」。山市がそう話すとおり、チームメイト全員がGK吉田優翔(3年)を信頼している。実際、吉田は帝京長岡の2人目、MF三宅凌太郎(3年)のキックを見事にストップ。対する桐光学園は5人全員が決めてPK5-3で競り勝った。

 2回戦の帝京大可児戦も吉田は相手の7人目をストップ。桐光学園は7人全員が決め、PK7-6で勝った。吉田のPKストップも光るが、2回戦からキッカーが一度も失敗していないことも素晴らしい。「吉田が止めてくれると思っているので、自分たちは思い切って蹴ろうと。自信と強気を持って蹴るだけだった」と山市は感謝するが、GKとフィールド選手の信頼関係が12本連続PK成功につながったのは間違いない。

 2試合連続のPK戦勝利で9大会ぶりの準々決勝進出を果たした桐光学園の鈴木勝大監督は「今日も苦しい試合だったが、選手たちが我慢強く戦って、こういう結果につながったと思う」と教え子たちをねぎらった。2大会連続ベスト4だった帝京長岡を破っての8強入り。MF中村俊輔らを擁して準優勝だった96年度大会を上回る悲願の全国制覇へ、この勢いのまま突き進む。

(取材・文 西山紘平)

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