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サイド攻撃から狙い通りの2発!名将・本田TAの下、全国で勝つチームへ成長中の国士舘が東京B準決勝へ

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前半40分、国士舘高MF濱田大和が決勝点。チームメートたちの前でゴールを喜ぶ

[10.22 選手権東京都Bブロック準々決勝 国士舘高 2-1 修徳高 南豊ヶ丘フィールド]

 全国で勝つチームへ成長を続ける国士舘が、目標へ一歩前進した。22日、第101回全国高校サッカー選手権東京都Bブロック準々決勝が行われ、国士舘高修徳高が激突。国士舘が2-1で競り勝ち、大森学園高との準決勝(11月6日)進出を決めた。

 習志野高、流通経済大柏高(いずれも千葉)監督として全国タイトルを獲得している本田裕一郎テクニカルアドバイザー(TA)就任3年目で4年ぶりの選手権出場を狙う国士舘と、8強入りした13年度以来の選手権出場を目指す修徳との準々決勝屈指の好カード。本田TAが流経大柏監督時代に指導している修徳・吉田拓也監督との師弟対決でもあった一戦は、国士舘が1点差で制した。

 前半、修徳は鈴木和尊(3年)と平山俊介(2年)の両CBがタッチライン際まで開く形でビルドアップ。数的優位を作り出しながらボールを前進させ、キープ力の高い左FW吉田康誠主将(3年)を多用しながらゴールを目指す。

 だが、国士舘はコンパクトな陣形を保ちながらプレッシング。相手を挟み込んでボールを奪い、徹底的にトレーニングしてきたサイド攻撃へ持ち込んだ。前半29分にはFWワフダーン康音(2年)を起点とした攻撃から左SB一瀬雅斗(3年)がアーリークロス。これをファーサイドのMF木原涼太(3年)が頭でねじ込み、先制した。

 さらに40分、修徳は右サイドで相手を揺さぶり、1年生ボランチのMF島田龍が左足でアーリークロス。GKの前へ飛び込んだMF濱田大和(3年)が鮮やかなヘディング弾を突き刺し、2-0とした。

 2年生エースのMF原田悠史は「プレスとか自分たちは速く行けて、外からのクロスということをテーマにずっとやってきたので、それで点を獲れたのは良かったと思います」。 狙い通りの形で2点を先取した国士舘だが、課題の得点後の5分間で守り抜くことができない。

 前半40+1分、修徳はMF森一真(2年)の左CKから平山の放ったヘッドがポストを叩く。この跳ね返りを188cmFWンワディケ・ウチェ・ブライアン世雄(2年)が頭で押し込み、1点差とした。

 修徳はその2分後にも左CKでファーの平山が競り勝ち、ンワディケが決定的なヘッド。だが、シュートは枠上へ外れてしまう。ハーフタイム、国士舘は本田TAがDF陣に厳しい檄。すると、後半は「自分的にはインターハイと関東大会に出場していなくて、選手権だけで。3回の怪我を乗り越えてこの戦いになったので、コートの中では一番若手なので、周りの意見も聞きながら純粋にやっています。なかなかグラウンドで自分の思いとかを表現する機会がなかった。今、グラウンドに立ててプレーで示せているのは自分としても嬉しいです」という右SB山本辰樹主将(3年)や、正確なキックも見せていたCB大阪竜也(2年)らDF陣が隙なく守り、1年生MF島田も守備面で存在感を発揮していた。

 国士舘は相手のロングボールに対して下がることなくラインを押し上げ続ける。奪ったボールを相手SBの背後へ入れ、両翼の濱田と原田が鋭いプレッシングを連発。特に「チームを勝たせる選手になっていきたいと思っています。(守備面では)自分は足速いから自分が後ろから追ったりすると、相手もプレッシャーが掛かってきてミスも多くなるだろうし、そこは本田先生からも言われているので」という原田が50m走5秒台の快足を発揮し、攻守両面でチームを引っ張っていた。

 国士舘は濱田、原田の両翼が決定機に絡むなど追加点のチャンスを作り出す。修徳は我慢強く守り、鈴木のロングスローやロングカウンターで反撃。だが、ベンチからのスタッフ、控え選手の声も後押しに走り続けた国士舘が2-1で準々決勝進出を決めた。

 国士舘の本田TAは得点を挙げた直後の失点について「いつもあんな感じなんですよ」と苦言を呈した。「でも、オレ関心するのは、(選手たちが)物凄くマジメなんですよ」。勝ち抜くためには賢さ、ズルさももちろん必要。だが、選手権未勝利のチームに招聘された本田TAの厳しい要求を素直に受け止め、前向きに戦える力は国士舘の強みでもある。
 
 試合後、上野晃慈監督から選手たちに向けて都ベスト4が目標ではないことが改めて共有され、選手たちは全国で勝つための行動を求められていた。山本は「選手権一戦一戦で成長が見られるので、それは自分たちの良いところだと思っています。本田先生が色々な高校へ行って3年目で全て全国へ行っている。自分たちが(国士舘での)3年目なので。ジンクスじゃないですけれども『俺たちの代で絶対に全国へ行ってやるぞ』とみんなで言っています。3年生の意識が凄く高くて一人も欠けることなく全員が良い意識で練習に向かうことができていて、それは凄く良くなってきていると思います」。本田TAも「ここへ来てちょっと変わってきた。勝つごとに変わってくる。練習から取り組みが違う。(まずは)とにかくもうひとつ勝たせてあげたい」と評した国士舘が、一戦一戦逞しさを増しながら全国大会で勝つチームへ成長する。

(取材・文 吉田太郎)
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