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[MOM4041]札幌光星GK米田幹汰(1年)_PK戦全勝の守護神が冬も活躍、“不思議な踊り”で決勝へ導く

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札幌光星高GK米田幹汰(1年生)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ supported by sfida]
[10.22 選手権北海道予選準決勝 札幌創成高 0-0(PK1-4) 札幌光星高 札幌厚別]

 ゴールキーパーは、不思議な踊りを踊った。相手選手から集中力を奪った。味方も驚く奇妙な動きで相手にプレッシャーをかけたのは、1年生GKだった。

 第101回全国高校サッカー選手権の北海道予選準決勝、第2試合は延長戦でもゴールが生まれずにPK戦へもつれ込んだ。夏のインターハイに続く全国大会出場を目指す札幌光星高は、延長戦の終了間際にGKを交代。ピッチに送り込まれたのは、1年生の米田幹汰だった。PK戦、札幌光星は先攻。米田は1本目はごく普通に臨んで決められたが、2本目に奇妙な踊りを見せた。両腕をプラプラさせ、体を右へ寄せたり、左へ寄せたり。相手や観衆だけでなく、味方も驚いた。

 主将のMF土井駿輔(3年)に聞くと「面白かったですけど。あんなことするんだって、チームメートも思っていました。初めて見ました。でも、何かやってくれそうだという感じはしていましたね。ちょっとビックリしましたけど、この舞台でアレをやるメンタルは、すごいなと。自分がやると決めたことはやり通すタイプだと思います」と笑っていた。

 本人以外には何か分からない不思議な踊りだったが、相手の2番手キッカーが右側の低い位置へ蹴り込むと、米田は、鋭く反応してセーブ。3本目も再び踊ってキッカーにプレッシャーをかけると、相手がクロスバーに当てて失敗。味方のキッカーが4人連続で成功し、PK戦4-1で札幌光星が決勝戦の出場権を勝ち取った。

 踊りの説明を求めると、米田は「あれは、会場を沸かせるため、笑いを取るため……というのは、ネタみたいな感じなんですけど。本当は、相手の集中力が途切れるかなと思って」と話した。PK戦の強さは、折り紙つき。練習でもよく止めると誰もが言う。米田は、夏のインターハイ予選でも札幌大谷との準々決勝でPK要員として出場して勝利に貢献。PK戦は、今回が人生7度目で全勝という。先発GK下田和舞(3年)も「PK戦になれば、アイツがいる。野球の(継投策の)勝利の方程式みたいな。そういうのありますよね」と抑えの切り札に信頼を寄せた。ただ、踊りについては「僕も初めて見ました。練習でもやっていなかったと思うんですけど……」と首をかしげていた。

 しかし、何の考えもなく踊るわけもない。米田に聞くと、1カ月ほど前の練習試合で思いついて試したものだという。相手は同じ札幌創成だったが、1年生同士の対戦だった。試合中に与えてしまったPKで、キッカーの集中力を削ごうとして思いつき、やってみたところ、決められてしまったが相手のコースは甘く、手に当てることができ、手応えを得た。もちろん、使い方も考えていた。1本目で踊らなかったのは、相手がコースを決めて蹴るタイプと見たからだ。最後まで間接視野にゴールを捉えようとするキッカーかどうかを見て、動きで惑わせるかどうかを判断していたという。

 元Jリーガーの小林宏之監督は「PKは、練習から良いセービングをしていた。PKに関しては彼も自信を持っている。普段からいろいろと仕掛けるというか……。何か自分なりの形があるので、今日はその形があれだった」と多少、説明に詰まりながらも納得の様子だった。翌23日の決勝戦で、札幌光星は、連覇を狙う北海高と対戦する。「僕の出番はない方が良い。それがチームにとって一番良いので」と言った米田だが、出番が来る可能性はある。最後の最後でチームに勝利をもたらす役目を果たすため、また独自の準備に臨むつもりだ。
★高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチを応援するsfidaは、第101回全国高校サッカー選手権大会のオフィシャルパートナーです。


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(取材・文 平野貴也)

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