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初V狙う大森学園が前回全国3位の関東一を撃破!雪辱果たし、東京B準決勝進出!!

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PK戦を制した大森学園高が喜びを爆発させる

[10.22 選手権東京都Bブロック準々決勝 大森学園高 1-1(PK5-3)関東一高 南豊ヶ丘フィールド]

 初Vを狙う大森学園が関東一を撃破! 22日、第101回全国高校サッカー選手権東京都Bブロック準々決勝が行われ、大森学園高が1-1で突入したPK戦の末、関東一高に5-3で勝利。昨年度全国3位の関東一を下し、準決勝(11月6日)進出を決めた。

 大森学園は昨年、初めて進出した準決勝で関東一に0-1で惜敗。その1年後にリベンジを果たし、2年連続で東京都高校サッカーの“聖地”西が丘サッカー場開催の準決勝進出だ。PK戦で勝利を決めると、殊勲のGK今井颯大主将(3年)を中心に大喜び。昨年のメンバーでもあるCB大澤郁輝(3年)は、「リベンジしてまた西が丘に戻れるということなので、このままの勢いで全国に出たい」と力を込めた。

 試合は立ち上がりから目まぐるしく攻守が入れ替わる展開となった。大森学園は前線からのプレッシングが効果を発揮。守備からリズムを掴み、右サイドでボールを収めるFW阿部圭佑(3年)を起点に攻撃を繰り出す。17分には阿部の折り返しをFW小野寺義凪(3年)が右足ダイレクトで叩いた。

 一方の関東一は右サイドからの攻撃が有効に。27分にはMF湯田欧雅(3年)が左中間で獲得したFKをMF井上樹(3年)が左足で狙う。GKが弾いたボールをMF佐藤大介(3年)が蹴り込み、スコアを動かした。

 だが、大森学園は試合再開後すぐに追いつく。29分、右サイドを抜け出した阿部の折り返しをMF若原和(2年)が右足でゴール左へ流し込んだ。相手はインターハイ出場校で、東京都4部の自分たちよりも4カテゴリー上のプリンスリーグ関東2部に所属する強豪校。追いついた大森学園はその後も攻守が噛み合い、上手くスペースを取る回数を増やした。

 後半開始直後には、相手ビルドアップの乱れを突いて小野寺が決定的な左足シュート。だが、この後は関東一がペースを握った。FW鹿岡翔和(3年)のクロスにU-17日本高校選抜候補のFW本間凜(3年)が合わせ、また後半に存在感を増した湯田と井上の2人で左サイドを攻略するシーンもあった。

 大森学園は後半、攻撃の収まりどころがなくなり、我慢の時間が増えた。後方から攻撃を組み立てるも、攻め切る前にロストしてしまう。後半は相手にボールを支配され、幾度も仕掛けられる展開。だが、小倉鋭也監督が「(相手は)王者・関一だったので苦しいゲームでしたし、苦しんで苦しんで苦しんで最後に笑えるようにしようと。そこのアプローチを常にしてきました」という大森学園の守りは崩れない。

 最終ラインでは「去年、(相手エースの)本間凜選手に決められてしまって、そこは注意することを後ろのラインは徹底的にやっていて、競り合いは自分が武器にしているので勝ったら吼えたりして盛り上げようとしていました」という大澤が競り合い、空中戦で強さを見せつける。キック精度の高いCB高梨天馬(3年)と大澤が中心となって声を掛け合いながら集中した守りを続けた。

 後半37分、関東一は交代出場FW清水大生(3年)の左クロスを本間が頭で合わせたが、大森学園GK今井がファインセーブ。大森学園はベンチから元Jリーガーで、J3相模原の元監督でもある安永聡太郎コーチから「失敗を怖れるな」「勇気を持って戦え」という言葉が飛ぶ。延長戦では逆に決定的なチャンスも。延長後半8分には相手サインプレーからDF矢端虎聖主将(3年)に決定的な左足シュート打たれたが、これも大澤が気迫で止め、PK戦へ持ち込んだ。

 関東一はPK戦直前にGK遠田凌(3年)を投入していたが、先攻の大森学園は1人目の高梨から4人連続で成功。そして、関東一4人目のシュートをGK今井が読み切ってストップする。最後は5人目のMF豊増翼(3年)が右足シュートを流し込んで決着。関東一撃破を成し遂げ、小倉監督は「嬉しいの一言に尽きるんですけれども、選手たちが本当によく戦ったので嬉しいと同時に『ありがとう』という気持ちがこみ上げてきました」と感謝した。

 関東一の小野貴裕監督は「勝つための最後のエネルギーを作り切れなかった」ことを指摘する。昨年度の選手権で初めて準決勝へ進出したが、出場辞退。周囲からの注目を浴びる中、新チームはなかなか結果が出ずに悩みながらもインターハイ出場を果たし、選手権に戻ろうとしてきた。だが、激戦区・東京の厳しい戦いで差を生み出すことができずに敗退。勝った大森学園は敗者の思いも持って国士舘高との準決勝を戦う。

 大澤は「失点はゼロで抑えて、競り合い・対人は絶対に負けないで、負けてしまった人たちの気持ちも背負いながらしっかりと戦いたい」と宣言。また小倉監督は「一つひとつ死力を尽くしてではないですけれども、浮き足立たず、チャレンジャー精神を持ってやりたい」と語った。大森学園は特別な個がいる訳では無いが、安永コーチの言葉がけによって、より全国を意識するチーム、まとまりのあるチームへ変化。敗退した高校の気持ちも背負って戦い、今年、チームの歴史を塗り替える。


(取材・文 吉田太郎)
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