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選手権で「花巻東」と「中村翔大」の名を広めて大学サッカーへ。岩手を代表するフィニッシャーが決勝点

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後半開始直後、花巻東高MF中村翔大が決勝点

[10.28 選手権岩手県予選準決勝 花巻東高 1-0 盛岡誠桜高 いわスタB]

 この日はチーム最多タイのシュート6本で1得点。満足はしていない。それでも、注目アタッカーがチームを決勝へ導いた。後半開始20秒、花巻東高はMF加々美敦己(3年)の右クロスからMF中村翔大(3年)が決勝ゴール。背番号11は歓喜するスタンドの仲間たちの前で拳を突き上げた。

「柱谷(哲二テクニカルダイレクター)さんにどんどん仕掛けろと言われていた」という中村は、左サイドからの抜け出し、ドリブルを繰り返して怖い存在に。「裏の抜けは自分でも(全国でも通用する)自信がある」という武器で決定的なシーンを連発した。

 ループパスに走り込んで右足で合わせ、クロスからダイビングヘッド。50m走6秒ジャストの快足アタッカーは一瞬の加速でDFを振り切り、相手よりも先にボールへ到達して得点機の数を増やして見せた。

 そして、「(最後決めるだけだと言われていたので、)本当に最後だけ意識して」決勝点。「今あまり調子が良い訳ではないんですけれども、『調子良くなくても点を獲るぞ』というのを意識して、どんな試合でも1点は決めてヒーローになりたい」という強い思いを値千金の1点に結びつけた。

 細かなミスを減らすこと、走力向上など課題はあるものの、インターハイ全国大会でもゴールを決めているMFは今年の岩手県を代表するフィニッシャーだ。この日は相手の脅威となり続け、決勝点。だが、高校卒業後、関東の強豪大学進学を目指している中村は「そこへ行くためにはここで止まっている場合じゃない」と言い切る。

「全国大会1回戦を突破することが自分たちの目標なので、1回戦を突破して、2回戦、3回戦と勝ち上がれれば(チームも、個人としても)名も上がると思う」。昨年の県2部リーグAでは14試合で驚愕の45ゴールを記録して得点王。今年、インターハイ予選でも5戦7発と大活躍しているフィニッシャーが選手権で、花巻東と中村翔大の名を全国に知らしめる。

(取材・文 吉田太郎)
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