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鳥取城北が3度目の決勝で絶対王者相手に大善戦。貫場監督は「ありがとうの気持ち」と3年生に感謝

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鳥取城北高は堂々の準優勝

[10.29 選手権鳥取県予選決勝 米子北高 2-1 鳥取城北高 Axis]

「最高でした。ボクが1年目の時に中学校を訪問して鳥取の歴史を変えようと集まってきた代で、本当にひたむきに練習して、一つになって……悔しい思いもしていたんですよ。それでも、最後やってくれたので、本当に感謝、ありがとうの気持ち。本当に、今の3年生はよくやってくれたという思いでいっぱいです。(ただ、頑張ってくれたからこそ)悔しいですね」

 鳥取城北高貫場貴之監督は試合後、期待通り120%の力を出し切った3年生たちに感謝していた。指揮官は富山の名門、富山一高、順天堂大出身の27歳。高校3年時のインターハイで米子北高に勝利して優秀選手に選ばれ、選手権出場や大学の総理大臣杯準優勝も経験している。JFLのホンダロックで1年間プレーした後、現役に区切りをつけ、大学経由で話のあった鳥取城北で高校サッカーの指導者をスタートした。

 自身が勧誘した最初の世代が6年ぶりに決勝へ駒を進め、12連覇中の絶対王者・米子北相手に大善戦。インターハイ3位の相手に怯むことなくしっかりと試合に入って相手の攻撃を跳ね返すと、連動した攻撃や個の力で攻め返して見せる。そして、前半15分、セットプレーの流れから左SB武信有眞(3年)が先制点を奪った。

 貫場監督は「結構ボールを大切にするとか、アイディア溢れるサッカーをしたいという思いがあったので、動画とかでマンチェスター・シティとか、バルセロナとか、ナポリとか良いプレーがあったら見せて、自分自身のアイディアを研ぎ澄まさせてというところで2回戦からそういった面白い攻撃で得点できていました。(なので、)CKからの得点は予想外でした」。米子北が強みとするセットプレーから得点。この後、相手の攻撃の迫力が増したが、集中を切らさずにサイド攻撃、セットプレーを弾き返して前半を1-0で終えた。

 後半開始5分に不運な形で追いつかれ、連続失点。もう少し持ちこたえることができていれば、また結果も違ったかもしれない。だが、1-2となった後もGK高橋伯明(3年)がファインセーブを連発。チームの要であるCB松原巧武(3年)のポジションを上げ、右の俊足MF本多春樹(3年)のドリブル突破やセットプレーでゴール前のシーンを作り出した。

 個性的な選手たちが「勝ちというベクトルにみんなが向かってくれていた」(貫場監督)。1点差を継続し、一体感ある戦いでスタンドを沸かせた鳥取城北だが、米子北は全国トップレベルのチーム。2点目を奪うことは叶わず、準優勝となった。

 貫場監督は「後半走り切る力を露呈したので新チームの課題なのかなと」と語り、GK高橋も「運動量とか相手選手も全然攣っていなかったし、そこの差が一番大きい」と米子北との差について口にした。

 それでも、3年生たちが後輩たちに勇気を与えたことは間違いない。高橋は「僕らの試合を見て何かしらの希望が出たと思うので、この舞台でしっかり勝ってもらいたいですね」と期待。MF初瀬颯太(2年)ら先発メンバーや切り札役も残る下級生たちが、絶対王者ストップを目指す。

 高橋が「めっちゃ熱心で全然引かないし、生徒思い」と評した貫場監督は、「指導者でも全国大会に行きたい」。米子北の壁がとても厚いことは確か。米子東高、境高という伝統校や私立勢に勝つことも簡単なことではない。それでも、鳥取城北は継続して鳥取の上位へ入り続け、壁を破る。

鳥取城北高貫場貴之監督は3年生に感謝

(取材・文 吉田太郎)
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