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守り切って12年ぶりの決勝進出!! 福井商を下した啓新、「時代を変える」初出場まであと一つ

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12年ぶりの決勝進出を決めた啓新高

[10.30 選手権福井県準決勝 啓新 2-1 福井商 テクノポート福井]

 第101回全国高校サッカー選手権福井県大会 準決勝が30日に行われ、啓新高福井商高が対戦。前後半に1点ずつ奪った啓新が勝利し、決勝進出を決めた。

 名古屋グランパスでのプレー経験を持つ平山大監督が2000年に就任してから、着実に力を付けているのが啓新だが、準決勝でぶつかったのはコンスタントに県大会の上位に入る福井商。県1部リーグの成績は啓新が4位であるのに対し、福井商は3位。後期の対戦では0-2で負けているため、「試合前は、福井商は強いなという意識がありました」(DF田中力矢、3年)。

 実際、試合が始まってからも福井商に押し込まれる展開が続く。中でも厄介だったのは、福井商のエースFW谷柊呂(3年)で、30分には自陣でのバックパスを奪われ、ゴール前に持ち込まれたが、上手く間合いを詰めたGK青山幸聖(3年)がブロック。35分には福井商のエリアから蹴り込んだボールを谷がバックヘッドで合わせたが、青山のパンチングで難を逃れた。いつ失点してもおかしくない場面が続いたが、最後の局面で粘り強く対応し、失点を阻止すると、39分には奪ったボールを前方に入れて、反撃をスタート。相手のクリアミスを拾った田中が、「足元にボールがこぼれてきて、良い所に止められた。ゴールが見えていたので、打ちました」と見事なロングシュートを決めて、啓新が先制した。

 後半9分にもMF清水諒(3年)にポストをかすめるシュートを打たれるなど危ない場面はあったが、DF坂井謙心(3年)らが最後の局面で粘って、同点弾を与えない。反対に奪ったボールを上手く福井商のDF裏に入れる回数も増えていく。24分にはMF吉田朝陽(3年)からのボールをPA左で受けたMF坂田旺翼(3年)が落ち着いて、DF2人をかわしてリードを2点差に広げた。

 試合終盤は両チームともに緊張からか、足を吊る選手が増えた。啓新は交替枠を使いきって逃げ切りを図ったが、最後はGKが足を吊るアクシデントが発生し、長身のDF橋爪太陽(3年)を前線に上げてパワープレーに出た福井商に押し込まれた。40+2分にはFW清水信之介(3年)に1点を返されたが、以降の危ない場面を全員で身体を張って凌ぎ、12年ぶりとなる決勝進出を果たした。「2-0で勝てたら一番良かったですが、苦しい中でも1点を守り切った経験は大きい。僕らとしてはこんなゲームやりたくないですけど、終わってみたら結果的にOKだったかなと思う」(平山監督)。

 全国大会への出場経験がない啓新だが、近年は中学時代に輝かしいキャリアを持たないものの、可能性を秘めた選手が門を叩き始めている。主将を務める田中(力)もその一人で、丸岡らコンスタントに県の上位に入るチームへの進学も考えていたが、「上手いチームに行けば県の上位や全国に行くのは当たり前だけど、強いチームに立ち向かっていきたかった」と入学を決意した。

 福井商を撃破し、決勝で丸岡と対戦する展開は、田中(力)と同じ想いを抱いて入学してきた選手が多い、啓新にとっては格好のシチュエーションだ。過去に2回、決勝への進出を果たした際はいずれも丸岡に負けているのも気持ちを高ぶらせる原動力になっている。「これまでにも決勝の舞台に立つ代はあったけど、勝てていない。自分らで時代を変えるというか、啓新の名前を残したい」。田中(力)の意気込みを果たせるか、決勝での戦いぶりからも目が離せない。

(取材・文 森田将義)
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