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攻撃練習の徹底で堅守に加わった得点力…富山一は準決勝も5発大勝、8大会連続の決勝へ:富山

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富山一はMF大矢悠太郎の2ゴールなどで大勝した

[11.3 高校選手権富山県予選準決勝 富山一5-0富山東 高岡スポーツコア]

 第101回全国高校サッカー選手権の富山県大会予選準決勝が3日に行われ、8大会連続33回目の全国大会出場を目指す富山一高富山東高に5-0で大勝し、決勝へと勝ち上がった。5日の決勝は高岡一高と対戦する。

 危なげなく8大会連続となる決勝へと勝ち上がった。立ち上がりからボールを支配してゲームを進めた富山一は前半7分、FW森川直哉(3年)が前線からチェックから相手GKを慌てさせると、クリアボールを拾ったMF大矢悠太郎(3年)が左足でロングシュートを狙う。

 大矢は「ミスキックになってしまった」と苦笑いしたが、シュートは狙った浮き球ではなく、グラウンダーのボールになってゴールに吸い込まれていく。さらに前半9分には左サイドで粘った大矢のキープからMF大居優汰(2年)がクロス。ゴール前でコントロールしたFW稲垣禅太郎(9分)が押し込んで追加点が生まれた。

 さらに給水タイムが明けた直後の前半24分、稲垣が得意の裏抜けからGKを外して流し込んでリードを広げると、同28分にはDF山本大心(2年)からのロングボールのこぼれ球を森川が蹴り込んで、前半だけで4点差にしてみせる。

 後半は準々決勝から中4日、そして決勝戦が中1日で行われることも考慮して、積極的に交代カードを切っていく。すると後半25分には途中から入ったMF沼田竜太朗(3年)のアシストから大矢が決めてダメを押し、圧勝劇を締めくくった。

 富山一は昨年まで率いていた大塚一朗元監督が、モンゴル代表の監督に就任したために退任。実質的な試合の指揮や指導は、大塚監督時代もコーチとして支えていた善本洋輔ヘッドコーチが務めている。「プレッシャーはありますよ」と笑みをこぼす一方で、「応援して下さる方が面白いなと。また富一のサッカーを見たいなと思ってもらえるようなサッカーがしたい」と意気込みを語る。

 富山県の高体連は現状、富山一のみがプリンスリーグ北信越を戦っており、県リーグ1部で富山一のセカンドチームが他校と戦っているくらいのパワーバランスがある。一方で全国大会では、昨年度の高校選手権、そして今夏のインターハイと2大会連続で初戦敗退と、力を出し切れずにいる。

 今季のチームの特長はプリンスリーグでも最少タイを記録した堅守だが、インターハイで敗れて以降は「引いた相手をどう崩すか」に多くの時間を割いて取り組んできたという。またCBだったDF湯川信治(3年)をアンカーポジションに上げ、同ポジションだった大矢をシャドーに配置。スキルの高い選手をより前で使うことで、攻撃のバリエーションも増えてきたようだ。

 善本コーチも「今まで積み上げてきた堅守の部分に得点力が加われば、強いチームになれるかなと思っています」と手ごたえを感じている様子。「インターハイの悔しさは忘れてはいないです。あの悔しさを晴らしたい思いはみんな持っていると思います」。新生・トミイチは必ず、全国でその力を証明する。

(取材・文 児玉幸洋)
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