[11.6 選手権大阪府予選準決勝 興國高 2-2(PK5-4) 桃山学院高 ヨドコウ]

　第101回全国高校サッカー選手権大阪府予選は6日、ヨドコウ桜スタジアムで準決勝を行った。第2試合では興國高が2-2で迎えたPK戦の末に桃山学院高に5-4で勝利し、3年ぶり2回目の全国出場に王手。決勝戦ではインターハイ大阪府予選を制した履正社高と対戦する。

　プリンスリーグ関西1部で首位に立っている興國と、大阪府1部で首位を独走する桃山学院の一戦。互いに高い技術を持つチーム同士のぶつかり合いとなったが、全国行きを争う一発勝負とあり、試合は拮抗した展開が続いた。

　最初の決定機は前半6分、興國はMF千葉大舞(2年)の左コーナーキックに長身DF西川楓人(3年)が頭で合わせたが、惜しくも枠を外れてしまう。対する桃山学院は同8分、鋭い突破を見せたMF石井陽大がペナルティエリア左を切り裂き、左足一閃。だが、これはGK山際壮太(3年)のファインセーブに阻まれた。

　その後は興國がボールを握ったものの、桃山学院はFW西条将太(2年)へのダイナミックな展開も活かしつつ、カウンター攻撃を披露。それでも前半25分、先に試合を動かしたのは興國だった。千葉が右コーナーキックをニアに送り込むと、反応したのはここまでターゲットになっていた西川ではなくDF常藤奏(3年)。身体が流れながらも強烈なヘディングシュートを突き刺し、先制点を奪った。

　後半はビハインドの桃山学院が攻勢を強め、4分にさっそく決定機。カウンターから右サイドを抜け出した石井が鋭いターンで相手をいなし、ラストパスにMF下代康生(3年)が反応した。だが、フリーで放ったシュートは大きく枠外。痛恨のキックミスで同点の絶好機を逃した。

　それでも後半10分、桃山学院がゴールをこじ開けた。自陣からのフィードをDF島野礼央が収め、左サイドの石井がゴールに向かって持ち出すと、ミドルレンジから右足一閃。地を這うようなシュートをゴール右隅に突き刺し、同点に追いついた。

　なおも攻める桃山学院は後半20分、西条のポストプレーから波状攻撃を展開し、興國守備陣に圧力を加えていく。同26分には下代が中盤でボールを収め、左に抜け出した石井に展開すると、西条とのワンツーからゴール前へ。だが、興國も西川を中心とした最終ラインが持ちこたえ、良い形でシュートにつなげさせない。

　すると興國も徐々に細かいパスワークから前進できるようになり、立て続けに決定機を創出。同27分にはFW山崎帝(3年)の浮き球パスに反応したMF小林嘉人(2年)のボレーシュートは空振りに終わったが、同28分にはMF宮原勇太(2年)が鋭いドリブル突破から左サイドを駆け上がり、通れば1点というクロスを送り込んだ。

　すると後半33分、興國が再び均衡を破った。MF古瀬夢叶(2年)の浮き球パスを山崎が落とし、宮原がうまく収めてラストパスを送ると、千葉が右足シュート。これはMF松本有真(3年)に阻まれたが、ゴール前に高く浮き上がったボールにいち早く反応した千葉が角度のないところから押し込み、勝ち越しに成功した。

　ところが試合はこれで終わらなかった。桃山学院は後半35分、左サイドに人数をかけて相手にプレッシャーをかけ、ボールを奪い切ると、石井が下代とのワンツーからペナルティエリア角を突破。最後は寄せてくるDFの裏をかいてゴール前に折り返すと、投入されたばかりのMF坂上宗太郎(1年)がファーストプレーで落ち着いて押し込み、同点に追いついた。

　桃山学院は後半アディショナルタイム3分、石井が坂上とのワンツーでペナルティエリア内に侵入すると、左足でシュートを打つと見せかけラストパス。フリーで待っていた島野が左足で狙った。だが、トラップがやや外に流れたこともあってかシュートは大きくゴールの上へ。勝負の行方は延長戦に委ねられる形となった。

　延長戦は両者とも攻め合うオープンな展開になるも、いずれも守備陣が集中力を切らさず、決定的なチャンスをつくらせない。前半アディショナルタイム1分には桃山学院の松岡がフリーで右足シュートを放ったが、西川がヘディングでブロック。興國は後半7分、ゴール左斜め前からのFKを西川が狙ったが、枠を捉えることはできず、そのままタイムアップを迎えた。

　運命のPK戦は桃山学院が先攻。2人目までは両チームともに成功させたが、桃山学院3人目のキックを山際がストップし、興國が優位に立った。その後は両チーム全員が成功させ、最後は千葉が決めた興國が決勝進出を決めた。

(取材・文　竹内達也)

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