beacon

[MOM4108]成立学園MF横地亮太(2年)_先輩たちの想いを背負ったスタメン唯一の2年生がチームを全国に導く決勝弾!

このエントリーをはてなブックマークに追加

チームを全国に導く決勝点を挙げた成立学園高MF横地亮太

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ supported by sfida]
[11.12 高校選手権東京都予選Bブロック決勝 成立学園高 2-1 国士舘高 駒沢陸上競技場]

殊勲の決勝点を奪った男は、泣いていた。2年生でただ1人のレギュラー。スタンドから声援を送ってくれる先輩たちに託された想いは、十分過ぎるほどにわかっている。3年生たちと、もっと選手権を戦いたい。その一心で叩き込んだゴールが、チームを全国の舞台に導いたのだから。

「自分は結構泣き虫なんですけど、涙が自然に流れてきた感じでした。嬉し泣きは初めてでしたね。いまだに夢みたい感じがしていますけど、みんなからも『今日は良かったぞ』と言われたので、そこも自信になったかなと思います」。

 パスサッカーを標榜する東京のゼブラ軍団、成立学園高。その中心たる中盤の中央を託された2年生ボランチ。MF横地亮太(2年=1FC川越水上公園出身)は大事なファイナルで、鮮やかに主役の座をさらっていった。

 東京実高の奮戦に苦しめられ、終了間際の逆転弾で辛うじて勝利を収めた準決勝。チームの出来同様に、横地は自身のパフォーマンスにも納得が行っていなかった。「やっぱり2年生で1人だけ出ているというのは責任が凄く大きくて、試合に出ていない3年生の分もしっかり頑張ってやらないといけないなという気持ちは凄くあります。プレッシャーもありますし、それで準決勝は硬いプレーをしてしまったかなと」。

 そんな様子を見た山本健二監督は、試合前に一言声を掛ける。「監督が『良いプレーをしようとしなくても、いつも通りにやればいい』と言ってくれたんです」。自分にできることを、全力でやればいい。10人の頼もしい3年生たちとピッチに歩み出る時には、もう横地の腹は決まっていた。

 試合は開始早々に成立学園が先制したものの、後半が始まるとすぐに国士舘が最大の武器のロングスローから同点に追い付く。「相手の得意とする形で、しかも後半の早い時間帯で点を獲られてしまったので、『相手にこのまま飲まれたら負けちゃうかな』と思って、引き締めるために声を掛け合っていました」。横地もドイスボランチを組むキャプテンのMF八木玲(3年)とともに、懸命に流れを引き戻そうと奮闘する。

 苦しい展開の続いていた後半23分。千載一遇のチャンスが巡ってくる。右サイドからのスローイン。自身も関わった流れから、交代出場直後のFW菅野芳帆(3年)が丁寧に裏へ落としたボールに、誰よりも早く横地が抜け出す。

「菅野くんにボールが入った時に、自分が呼んで、ボールを出してくれたら、もうGKと1対1だったので、斜め後ろから相手が寄せてきていたんですけど、思い切り振り切りました」。右足で叩いたボールは、豪快にゴールネットを貫く。「先輩はみんな上手くて、自分が飛び出せばみんなパスを出してくれるので、それを信じて裏抜けしました」と語った6番の勝ち越し弾。成立学園が再びリードを奪う。

 実はこのゴールには、“自主練”のイメージが大きく影響していたという。「昨日も一昨日も自主練で、2年生のトップチームの人たちと一緒にシュート練習をした効果が出たのかなと思います。いつもの自主練はリラックスしながらやるんですけど、昨日はキーパーの新渕(七輝)くんが『引き締めて短時間で集中してやろう』と言って、みんなでちゃんと真剣にやって、ディフェンスを付けながら1対1をやったりしたんですけど、そのイメージがあったのが本当に一番の要因かなと思います。みんなに感謝しかないですね」。

 仲間と重ねた時間は嘘をつかない。それを改めて実感するような、みんなの想いも乗せたゴラッソは、そのまま貴重な決勝点に。横地の右足から生み出された1点が、成立学園の実に17年ぶりとなる全国切符獲得に、大きく貢献する結果となった。

 近年も好選手を輩出し続けている1FC川越水上公園から、成立学園の門を叩いた横地は、このチームでプレーできる喜びも日に日に強く感じているという。「実際に練習会に行った時に、コーチ陣も凄く楽しくやってくれましたし、プレースタイルも自分がやってきたパスサッカーだったので、『ここに凄く入りたいな』と思いました。下からパスを回す感じが大好きですし、綺麗なサッカーをするのも大好きなので、この高校に入れて良かったなと思います」。だからこそ手繰り寄せた全国では、このチームの名前をもっと多くの人に知ってもらいたい。

「今回は17年ぶりの出場で、全国でもそこまで名前を知られていない高校だと思うので、まだ1月まで時間がある分、ここからしっかり仕上げたいですし、T1リーグでもここから全部勝てば優勝できるので、そこも全部勝って、全国でも優勝できたらなと思います。個人としては、試合に出られたらですけど、自分の持ち味を出しながら、悔いのないプレーをしたいですし、ゴールはいつでも目指していきたいです」。

 良い意味で、学年なんてもはや関係ない。ハードワークも厭わない攻撃型ボランチ。横地の躍動が、そのまま成立学園が期す全国での躍進の鍵を握ってくることに、疑いの余地はない。



★高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチを応援するsfidaは、第101回全国高校サッカー選手権大会のオフィシャルパートナーです。


 挑戦し続ける若者を応援したい、挑戦の先にある新たな扉を開くサポートをしたい、そんな想いから第100回大会より全国高校サッカー選手権へ協賛。日本一を目指す高校生たちの挑戦を全力でサポートいたします!

sfida 2022秋冬COLLECTIONはこちら

(取材・文 土屋雅史)

●【特設】高校選手権2022

TOP