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3年連続同一カードの決勝、制したのは近大和歌山!! 初芝橋本下して2連覇達成…指揮官「よく勝ち切ってくれた」

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近大和歌山高が2年連続9度目の選手権出場

[11.13 選手権和歌山県予選決勝 初芝橋本高 1-2 近大和歌山高 紀三井寺公園陸上競技場]

 11月13日、あいにくの雨が降る紀三井寺公園陸上競技場で、第101回全国高等学校サッカー選手権大会の和歌山大会決勝が行われた。

 決勝の舞台に上がったのは、初芝橋本高近大和歌山高。決勝で顔を合わせるのは3年連続、過去2年は互いに1勝1敗だ。両校とも今年はプリンスリーグ関西2部で戦ってきたが、苦しい試合も少なかくなかった。それでも成長を重ね、今大会では初芝橋本は24得点、近大和歌山は15得点を挙げて、無失点のまま決勝まで勝ち進んできた。

 前半に多くチャンスを作り出したのは、セカンドボールを相手より多く回収した初芝橋本。MF飯野朝陽(3年)の精度の高いキックやFW朝野夏輝(2年)のサイド突破、スピードのあるFW東野啓太(3年)の抜け出しなどでゴールに向かう。28分には朝野の突破からMF増田晋也(2年)がシュートを放つも、わずかに枠外。近大和歌山も前線にボールを持ち込む機会はあっても決定機を作るまでは至らず。守備の集中力の高さも相まって、両チームに得点がないまま試合を折り返した。

 先にスコアを動かしたのは、前半に多くあった苦しい時間を耐えた近大和歌山。12分、右CKからMF畑下葵(3年)が蹴ったボールにDF湯川皓平(3年)が頭で合わせ、ゴールをこじ開けた。さらに3分後、DF長瀬雄飛(3年)が前に出したボールに反応したのはFW木村憲慎(1年)。「80分のゲーム内で勝負をつけたい」(藪真啓監督)と後半開始から投入されていた木村は、相手選手のクリアを逃さず、瞬時に足先の甲で叩き落としてすり抜け、右足を振り抜く。「外したかも、と思った」(木村)シュートは見事ネットを揺らし、貴重な追加点を奪った。

 一方、初芝橋本は、40分に飯野の蹴ったCKが相手のオウンゴールを誘い、1点を返す。さらに勢いを増してゴールを目指すも、追いつくには時間が足りず。近大和歌山が2-1で和歌山県の頂点に立った。

 準優勝となった初芝橋本の阪中義博監督は、インターハイ予選で敗れた際、試合に負けたこと自体ではなく、選手たちが持っている力を出し切れていなかったことに対して強い悔しさを感じていた。けれど、この決勝の試合後には、成長を重ねてここまで来た選手たちが最後まで戦う姿勢を示し続けたことに対し、「本当によくがんばってくれた」と讃えた。初芝橋本の今シーズンは、まだ終わらない。この決勝と同じように、残り2つのリーグ戦を最後まで戦い抜く。

 2連覇を果たした近大和歌山。藪監督は「前半は集中を切らさずによく守ってくれたし、後半に入ってからは選手たちが前半に崩してしまっていたリズムをきちんと修正してくれた。前半中に攻められたことで足が攣りそうになっている選手もいたが、よく勝ち切ってくれた」と選手たちに賛辞を贈った。また、DFリーダーを務める澤一翔(3年)は「無失点で終えたかったのに、1失点してしまった」と振り返り、全国大会には「さらに守備の質を高めて臨みたい」と意気込みを語っている。

 昨年出場した選手権では、優勝候補の一角だった流経大柏高をPK戦の末に破り、和歌山県勢としては11年ぶりに初戦を突破した。しかし、それで満足しているわけではない。今年はさらに高みを目指したい。昨年できたこともできなかったことも全てまとめて糧にして、強豪相手でも「戦えるという自信を持って」(畑下)、全国の舞台に立つ。

(取材・文 前田カオリ)
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