beacon

一躍ブレイクの岡山学芸館2年生GK平塚仁、先輩GKの振る舞いに感謝「矢野さんの存在が支えになった」

このエントリーをはてなブックマークに追加

岡山学芸館高GK矢野晃

[1.9 選手権決勝 岡山学芸館高 3-1 東山高 国立]

 新時代の幕開けを告げる第101回大会を制したのは、ダークホースとして激戦を勝ち上がった岡山学芸館高だった。数々のPKストップと鮮やかなキック、安定したハイボール処理で一躍ブレイクを遂げた岡山学芸館高GK平塚仁(2年=MIOびわこ滋賀U-15)は試合後、3回戦の國學院久我山戦がターニングポイントだったと明かした。

 岡山学芸館は國學院久我山戦でシュート数2-7というスタッツ以上に劣勢を強いられたが、0-0で我慢してなんとかPK戦に持ち込み、平塚が一人目のエースのキックを止めて勝利した。この戦いぶりがチームを勢いづけていたという。

「攻撃も刺さらなくて、相手のFWには塩貝(健人)選手という有名な選手がいて、正直チームの中にも敵わないだろうと思っている選手もいた。ただ、チームが一つになって最後まで守り切れた。その結果、(受けた)シュートの本数が少なかったし、あの集中力がチームの成長につながっていた」

 その試合を筆頭に、守勢となった状況で活躍が目立ったのはDF井上斗嵩主将とDF田口大慎の3年生センターバックコンビ。決勝戦でも井上の空中戦から先制点が生まれるなど、最終ラインの安定が欠かせない存在感を放っていたが、平塚は後ろから見ていた彼らの奮闘に感謝した。

「井上選手や田口選手が前の選手を動かしていて、ボランチから見えないような相手選手も声でどこにいるかを伝えられるから、選手の距離感が良くなってハードワークできる」。その声に動かされるボランチやサイドハーフが巧みに連動し、日本一に導いたコンパクトな守備ブロックを構成していたようだ。

 また平塚はFW今井拓人(3年)の貢献度の大きさも強調していた。決勝戦ではサイドに流れる今井に平塚からのロングフィードが通る場面がいくつもあり、押し込まれた状況からの陣地回復と攻撃の打開策をいずれも担っていたが、チームとしての狙いどおりのプレーだったという。

「苦しい時も今井選手が中心となって、同じサイドの裏に抜け出して時間を作ったりしてくれるので、今井選手のスピードとパワーを活かして背後にシンプルに落とすというのはチームの共通理解としてあった。自分はキックが得意なのでそれを活かすためにも、今井選手(の強み)を活かすためにも、常に狙っておかないといけないと思っていた」

 続けて平塚はもう一人、自身のパフォーマンスを支えてくれた陰の立役者への感謝も欠かさなかった。

「自分は夏のインターハイ前から試合に出させてもらっていた中で、インターハイも選手権も苦しい時間帯にベンチで矢野さんが一番叫んでくれた」。挙げたのはGK矢野晃(3年=FC eje)の名前。インターハイ予選で正GKを担っていたが、全国大会では自らに正GKの座を譲る形となった先輩の支えも受けながら、平塚はピッチに立っていた。

「自分は2年生で、3年生の最後の試合を奪っているにもかかわらず、矢野さんは最後まで僕のことを応援してくれた。チームのために努力している矢野さんの存在が自分にとって支えになった。それが自分のいまの活躍につながっている」

 来季はそうした3年生の支えがない中、自らが先頭に立って連覇を狙っていく構えだ。「選手権で国立を経験させていただいて、日本一にさせていただいた。試合に出ていないとわからないこともあるので、自分が引っ張っていかないといけない。日本一の景色をもう一度見るために自分が中心となって伝えていきたい」

(取材・文 竹内達也)
▼関連リンク
●【特設】高校選手権2022

TOP