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和歌山から東京の名門・帝京へ進学。今治内定CB梅木怜は目の前の戦いに集中し、兄の分も「自分が」選手権へ

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帝京高の今治内定DF梅木怜(3年=ミラグロッソ海南出身)は一戦必勝で選手権へ

[10.22 選手権東京Aブロック3回戦 東京農大一高 0-3 帝京高 東久留米総合高G]

「お兄ちゃんも帝京でやっていて、全国に出れなくて、2番目のお兄ちゃんは和歌山北高校でやっていて、そこでも全国という舞台に出れていない。お兄ちゃん2人も全国に出ていないので自分がしっかりと出て、あと帝京としても10数年ぶりにしっかりと全国の舞台に立ちたいと思っています」

 帝京高のDF梅木怜(3年=ミラグロッソ海南出身)は、今年3月に24年シーズンからの今治加入が内定。8月にはU-18日本代表に初招集されたDFだ。今治やU-18日本代表ではSBとしてプレーするが、帝京では昨年からCB。元々アタッカーで、昨春のコンバートからチームの柱へと成長を遂げてきた。

 抜群のスピードを活かした攻撃参加や、一本のキックで局面を変える力を兼備。この日は高精度のサイドチェンジを含めてロングボールの本数を意図的に減らしていたものの、縦パスで2点目の起点になった。

 また守備面では東京農大一高のカウンター攻撃を幾度も阻止。スピードを活かしたカバーリングでボールを奪い取って見せた。ただし、この日はインターハイ予選で敗れた初戦の重圧も感じていた模様。後半、相手の速攻に対して慌ててタックルへ行ってかわされたことを猛省していた。

 選手権への思いは特別だ。和歌山県から人間的に成長するため、全国大会に出るために進学してきた梅木にとって、今回が最後のチャンス。「高校最後でしっかりとタイトルが取れるように、しっかり全員で戦っていきたいです。DFラインとしては全ての試合ゼロで終わるというのが一番だと思っていて、個人としてはチームのために声かけや攻撃の起点を後ろから作っていけるように」と意気込んでいる。

 Jクラブ内定選手として注目される中でのプレー。だが、「チームのためにやって、自分は来年のことはあまり考えずに今は目の前のことだけ」に集中している。そして、「最後まで自分のプレーを出して、チームを勝たせられるような選手になりたいです」。この日は試合終盤に右SBとしてもプレー。どのような状況でも自分のやるべきことを表現し、チームの信頼に応える。

 勝つために細部にこだわる考えだ。「練習からの雰囲気や取り組む姿勢、あと私生活が試合の中で少しのパスとかでも出ると(日比威)監督にも言われているので、しっかり私生活からみんな見直して、来週からまた勝って、またステップアップできるようにやっていきたいです」。昨夏、全国2位となったが、選手権予選は準決勝で敗退。選手権で勝つことの難しさを知るDFは準備からこだわって戦い、一戦一戦白星を重ねる。

(取材・文 吉田太郎)
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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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