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[選手権]後半に取り戻したスタイル…勝負強さを示した鵬学園、金沢学院大附をPK戦の末に下して決勝へ!!:石川

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PK戦を制した鵬学園高が決勝進出

[10.28 選手権石川県予選準決勝 鵬学園高 3-3(PK4-2) 金沢学院大附高 金沢市民サッカー場]

 第102回全国高校サッカー選手権石川県予選準決勝が28日に開催され、4年ぶり3回目の出場を目指す鵬学園高と夏冬連覇を目指す金沢学院大附高が対戦。両者譲らず、PK戦までもつれた一戦は3-3(PK4-2)で鵬学園が勝利した。

「結果的にPKで負けましたが、客観的に見ても本当に凄く良いゲームでした」。元J2群馬の北一真監督が選手を称えた通り、試合内容で言えば金沢学院大附の勝ちゲームだったかもしれない。それでも、粘り強く戦い白星を引き寄せた鵬学園の勝負強さを感じる一戦だった。

 序盤に主導権を握ったのは金沢学院大附。「雨だったので前を意識した。本来は動かしたかったけど、このピッチだと動かせないので長いボールを多めにした」(北監督)という策が見事にハマる。コンディションが万全ではない相手DF陣の背後をFW櫻井鳳雅(3年)が徹底して狙うと、鵬学園の守備陣は警戒し過ぎて、ラインを後方に下げてしまう。その結果、優位に試合を進めた金沢学院大附は前半8分にFKを獲得。MF今鷹陸(2年)がゴール前に入れたボールをMF馬越淳史(3年)が頭で合わせ、均衡を崩した。

 37分にはMF岩田恒輝(3年)が倒され得たPKをU-17日本代表のDF鈴木樟(3年)が決めて鵬学園が追い付いたが、イーブンな状況は続かない。40分には自陣左からのリスタートをDF北村颯登(3年)が大きく蹴り込むと、高い位置で受けたMF西田虎汰郎(3年)が左足シュートを決めて、金沢学院大附が2-1で試合を折り返した。

「メンタルの弱さが、入りの悪さに繋がった。うちらしい」。鵬学園の赤地信彦監督が嘆く試合展開となったが、今季はプリンスリーグ北信越1部で何度も苦しい試合を経験しているため、ピッチに動じた様子は見られない。後半に入り、ラインを高く設定し普段通りのスタイルを取り戻す。

 交代で入ったFW山田智稀(3年)、MF猪谷悠太(2年)の力強いプレーで相手ゴールに迫り、風向きは鵬学園に傾いていた。なかなか2点目は生まれなかったが、「後半はやっと普通のサッカーになった。なので、時間さえあれば追い付けるというか盛り返せると思っていた」。読み通り、後半40+7分にMF丸山哉太(3年)のミドルシュートで追い付き、延長戦に持ち込むと、延長前半9分にはCKからDF山崎快(3年)が勝ち越し点をマークする。

 勝利目前の延長後半10分には櫻井に決められ、PK戦となったが、4人のキッカー全員がきっちり決めて3-3(PK4-2)で試合を終えた。「優勝するためにやってきたので、ここで足踏みしていてはいけない。まだ甘い。良い意味で気を引き締める試合になった」(赤地監督)。

 決勝は5年連続で星稜高との対戦となった。2019年度に2度目の選手権出場を決めて以来、インターハイ予選も含めて何度も敗れている。また、2020年以降はコロナ禍でリーグ戦が思い通りに消化できなかったため、いくら結果を残しても県リーグに留まらざるを得なかった。鵬学園にとって苦しい3年間だったのは間違いない。それでも、ブレずに鵬学園らしさを追求し、先輩たちを超えようとやってきたから今がある。これまでを無駄にしないためにも、やってきた全てをぶつけて決勝での勝利を目指す。

(取材・文 森田将義)

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森田将義
Text by 森田将義

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