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帝京安積の“リベンジ”許さなかった聖光学院…粘り強く完封勝利を収め、尚志への挑戦権獲得:福島

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完封勝利の聖光学院高が決勝進出

[11.3 選手権福島県予選準決勝 聖光学院高 1-0 帝京安積高 郡山西部サッカー場]

 第102回全国高校サッカー選手権の福島県予選は3日、福島県郡山市の郡山西部サッカー場にて準決勝が行われ、第2試合は聖光学院高帝京安積高が対戦。1-0で勝利した聖光学院が決勝へ駒を進めた。

 インターハイ福島県予選準決勝でも対戦し、その時は聖光学院が2-1で勝利した。再び勝利を目指す聖光学院と、リベンジを目指す帝京安積の意地がぶつかり合った一戦。前半は帝京安積が相手陣内に押し込み決定機をつくり出した。2分にはMF荒井康乃裕(3年)が右サイドからシュートを放ち、9分にはクリアボールを拾ったMF吉田虹太(3年)がシュート、28分にはCKのチャンスからDF千葉倭(3年)がヘディングシュートを放つが、聖光学院はGK井上浩太(3年)やキャプテンDF鈴木悠真(3年)の好守もあってゴールを割らせない。前半は0-0で折り返した。

 後半に入ると互いにゴールに向かう意識が高まり、大きな決定機をつくり出す。15分、帝京安積はキャプテンのDF小谷野琥珀(3年)が前線に上がってきて「どこかで1本来ると思っていました。自主練でも狙っていました」というミドルシュートを放ったが、惜しくも左ポストを叩いた。26分には聖光学院MF舘崎海翔(3年)のミドルシュートが右ポストを叩き、こぼれ球を拾ったFW渡邉陽路(3年)のシュートは枠外にそれる。ともにビッグチャンスもあったが決めきれなかった。

 互いに得点を奪えないまま迎えた36分、聖光学院は相手CKの後にカウンターを仕掛け、ロングボールに抜け出したMF清水楓斗(2年)が後方から上がってきたDF遠藤圭梧(3年)にパス。遠藤がファーサイドにクロスを上げると、待っていたのは渡邉。「あそこまで良いボールは練習でもあるかないかでした。集中してできました」とドンピシャリのクロスを受けて、ヘディングシュートを放つ。これが帝京安積の選手に当たってオウンゴールとなり、聖光学院が先制に成功した。その後は帝京安積の反撃を体を張ってしのぎ、1-0で勝利。5日、郡山西部サッカー場にて行われる決勝・尚志戦へと駒を進めた。

 聖光学院の山田喜行監督はタフな展開での勝利に「帝京安積はアタッキングゾーンの崩しや、クロスへの入り方のクオリティが高く、劣勢も想定していましたが、思ったより強かったです。それでも粘り強さできちんと対応できました」と粘り強く失点0で推移できたことを勝因に挙げた。山田監督は県新人大会優勝から、インターハイ予選準優勝、そして選手権予選とここまでを振り返り、3年ぶりに選手権県予選決勝の舞台へと上がれた理由について「絆です。力を持った選手たちでしたが、いろんなことを繰り返してきた仲間たちで連続失点をするような弱さのあった時期もありました。今日はつながりを持ってやってくれました」と選手たちの一体感が上がってきたことを挙げた。

 決勝の対戦相手は現在プレミアリーグEAST2位の尚志。「年間通しての目標は選手権に行くことです。相手が尚志であっても目標達成のために良い準備をしたいです。全国のトップのチームですが、誰しもが決勝は難しいというのは(仲村)浩二君も分かっていると思います。向かって行くだけ、自分たちの良さを十二分に発揮するだけです」と山田監督は真っ向勝負を挑む構えだ。先制のオウンゴールを誘発した渡邉も「尚志はプレミアリーグでも失点が少ないのですが、決勝は自分たちと尚志しかいないので、楽しんでチャレンジャー精神を持ってやりたいです」と大舞台を楽しもうと意気込んでいた。

 一方、前半から優位に試合を進めながら敗れた帝京安積の小田晃監督は「今年に関しては(聖光学院に)何度も負けて、少しは自信のある中でこの結果なので、今後何をするべきかを聞かれても、少し考えてからかな…」と悔しさをにじませていた。「前半は良かったのですが、もっと攻撃に人数をかけたかったですね。後半少し相手を動かしてから前に入って行きたかったのですが、うまく動かせず、相手のはね返しに苦労しました」と持ち前のポゼッションや崩しを、特に後半うまく見せられなかったことを悔やんだ。キャプテン小谷野も「後半相手がロングボールを使ってきてラインが下がってしまい、自分たちの甘さが出て、はね返せませんでした」と後半の戦いを反省していた。

 小田監督は「今日はこの舞台で思うように力を発揮できない選手もいました。リーグ戦でもっと上位に入っていくことで、その延長にしっかりしたものがあればトーナメントでも力を発揮できると思います」と、3年連続プリンスリーグ東北に残留しながらも、全国の舞台が遠い現状を変え、さらにステップアップしようと今後に向けて意気込んでいた。

(取材・文 小林健志)
●第102回全国高校サッカー選手権特集
小林健志
Text by 小林健志

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