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[選手権]今治東が2年ぶり全国に王手! プリンス四国で浸透した3バック戦術が奏功、前年度王者・帝京五を3発撃破:愛媛

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今治東中等教育学校が愛媛県予選決勝へ

[11.3 選手権愛媛県予選準決勝 帝京五高 1-3 今治東中等教育学校 グリーンフィールド新居浜]

 2年ぶりの全国出場に王手をかけた。今治東中等教育学校は前年度の県予選決勝で敗れた相手、帝京五高と対戦し、3-1で勝利。3年連続で決勝進出を決めた。

 帝京五は4-4-2の布陣でGKは飯島悠翔(3年)、4バックは左からDF大井優哉(2年)、DF宮島柊汰(3年)、DF五本木涼(3年)、DF蓑牟田翔(3年)。中盤はDF松田侑弥(3年)、MF樋口志(3年)、左サイドにMF川柳聖(3年)、右サイドにMF山口雄人(3年)。前線にFW森下勇璃(3年)、FW佐藤羚音(3年)が入った。

 今治東は3-4-2-1の布陣を敷く。GKは井門泰誠(3年)、3バックは左からDF西河大陸(2年)、DF樋口智大(3年)、DF越智彪乃介(2年)。左WBがDF岡田瑛斗(2年)、右WBがDF河上進次郎(3年)で、ボランチ2人はMF安部日々輝(2年)とMF倉瀬悠葵(1年)。2シャドーにFW高瀬一光(2年)とFW河上塔二郎(3年)で、1トップにFW大荒陽平(3年)が起用された。

 序盤から主導権を握ったのは今治東だった。強固な3バックで相手の攻撃を跳ね返し、中盤でボールを拾う。あせらず試合を運び続け、スローインやセットプレーで冷静に敵陣にボールを入れていった。すると、前半終了間際から攻撃が結実する。

 前半36分、今治東は左サイドでFKを得ると、岡田が右足で敵陣PA内に入れ込む。ゴール前の混戦でボールを収めたのは樋口。すかさず右足で蹴り込むと、ふわりと浮いたボールはそのままゴール右隅に決まり、先制ゴールとなった。

 勢いづく今治東は、前半40分にも決定機を作る。攻撃をけん引する大荒がPA手前でカットインから右足シュート。しかし、鋭い弾道はクロスバーに直撃した。それでもその2分後、前半終了間際に追加点。高瀬がPA左に入り込むと、相手のファウルを誘発し、PKを獲得。大荒がキッカーを務め、ゴール正面に2点目を叩き込んだ。

 帝京五は0-2で前半を折り返すと、点差を縮めるべく、五本木を前線に入れる得意のパターンを敢行。徐々に拮抗した展開に持ち込むが、それでも得点は遠い。

 一方、今治東は後半10分にダメを押す。左サイドの深い位置から岡田がFKを蹴ると、頭で合わせたのは樋口。先制ゴールと同様のホットラインで3点目を挙げ、3-0とリードを広げた。

 帝京五は後半26分に4枚目の交代カードを切り、DF大澤蹴舞(3年)を投入する。大澤が気迫を見せてチームに勢いを与えると、同32分に待望のゴール。五本木が右サイドからクロスを上げ、大澤がヘディングシュート。ボールはゴール左ポストに当たり、そのままゴールに入った。

 1点を返した帝京五は直後にも五本木のクロスに大澤がヘディングシュートで合わせる。しかし、再びゴールネットを揺らすことはできずに試合終了。前年度県王者の帝京五が準決勝で敗退し、今治東が3-1で2年ぶりの全国まであと一勝に迫った。

 帝京五は2年連続の全国切符を掴むことができなかった。植田洋平監督は「主導権を握りたかったけど、今治東の出足と球際の良さに後手を踏んだ」と肩を落とす。セットプレーからの失点が続いたことに「あれだけ放り込まれたらああいうパターンになる」と振り返った。

 前年度に初の選手権出場を果たし、今夏の総体で全国に勝ち進んだが、今回は県予選を突破できず。指揮官は「全国のビッグクラブは10年、20年連続で全国大会に行くわけですから、僕も当然それを狙っていた。そういう意味では非常に悔しい」と率直な思いを口にした。

 今治東は攻撃力のある両WBを生かすため、3バックを敷いた。谷謙吾監督は「後ろの3人がしっかりと弾き返せる回数が多かった。ルーズボールを2列目がよくマイボールにできた。あそこでコントロールして前半はサイドで落ち着けた」と総括。「思った以上に選手たちが落ち着いてやっていた。たいしたもんです」と目を細めた。

 プリンスリーグ四国勢として戦う経験が力になった。「今年一年、プリンスを通じて苦しみました」と振り返りつつ、「だけど、いろんな形ができつつあります」(谷監督)。メインの3バック以外にも4バックもできることも含め、たしかな成長に手応えを語った。

 今治東は2年ぶり3度目の選手権に王手をかけた。「疲れる。本当に帝京とやるのはいつも疲れる」と谷監督は本音ものぞかせる。「1点を返された後は、相手もなんとかなるかもしれないとやってくる。やはり気は抜けない」と帝京五を称えた。県予選決勝は3年連続での出場だ。「その雰囲気を選手たちは3年連続で経験している。バタバタしないとは思っているが、決勝だけは独特ですからね」。強敵打破の勢いを手に、12日の決勝で済美高と対戦する。

(取材・文 石川祐介)

●第102回全国高校サッカー選手権特集
石川祐介
Text by 石川祐介

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