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[選手権]明徳義塾が“夏”のリベンジ達成!! 3発完封勝利で3年ぶりの選手権出場に王手:高知

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[11.3 選手権高知県予選準決勝 明徳義塾高 3-0 高知商高 春野総合運動公園球技場]

 夏以降にチーム力を上げ、3年ぶりの選手権出場に王手を掛けた。

 11月3日に高校サッカー選手権の高知県予選準決勝が行われ、明徳義塾高高知商高を3-0で下して11日の決勝に駒を進めた。

 今から1年前。同じ春野総合運動公園球技場で高知西高に0-4で敗れた。準決勝敗退――。同じ轍を踏むわけにはいかない。全国舞台復帰を果たすべく、ピッチに立った選手たちはいきなり相手の出端を挫く。キックオフして僅か37秒の出来事だった。右サイドのFW葛籠聖斗(1年)にボールが渡ると、ゴール前へクロスを入れる。FW瓜生真斗(3年)がファーサイドからヘディングシュートを放つと、ボールは左ポストに当たってゴールに吸い込まれた。

 電光石火の一撃。一気に流れを掴むかに見えたが、あまりにも早い先制点が試合を難しくした。

「早い時間帯というか、30秒ちょっとでゴールを取ったもんだから、相手が開き直ってきた。もうやるしかない。そんな具合にスイッチが入った」(小松晃監督)

 以降は相手のパワーを生かした攻撃に屈し、自陣で耐える時間帯が続く。ロングボールを最終ラインの裏に蹴られ、高知商のFW三好叶(3年)にもボールを収められてしまう。苦戦を強いられたが、2年生CBのメフタ・ラヤンを中心に凌ぎ、相手に決定機を作らせなかった。すると、前半35分にこの日2度目の好機が訪れる。右サイドを打開すると、右SB女良明日夢(2年)がゴール前にクロスを供給。一度は弾かれたが、キャプテンのFW吉田凱(3年)が相手GK丸山泰輝(2年)の頭上を抜く、技ありのヘディングシュートを決めてリードを広げた。

 粘り強く戦って前半をリードして折り返すと、後半も高い集中力で相手に得点を許さない。フレッシュな選手を前線に送り込まれ、ゴール前でヒヤリとする場面を何度か作られたが、最後まで身体をぶつけてギリギリのところで失点を回避。後半28分にはCKの流れから高知商の主将・CB安並空音(3年)にワンツーでエリア内を突破され、この試合最大のピンチを迎えたが、シュートが枠から外れて事なきを得た。この場面を凌ぐと、直後の同30分にMF徳能伊織(2年)がダメ押しゴールをゲット。勝負を決定付ける3点目を奪い、さらに試合を有利にした。

 残り10分を切ってからは安並を最前線に上げるパワープレーを仕掛けられ、空中戦で競り勝てずになかなかマイボールにできなかった。それでもタフに守り、最後まで無失点。完封勝利を飾り、2年ぶりとなる決勝進出を決めた。

 思い返せば、今年は思うように強化を図れなかった。特に守備陣の整備が進まず、攻守が噛み合わない試合が散見。インターハイ予選では準々決勝で高知国際高に0-1で敗れるなど、勝負所での弱さも目立った。さらに追い討ちをかけるように、主軸を担うボランチの青山羅尊(3年)とCBの高山拓巳(3年)が夏場に負傷。長期離脱となり、元々下級生が多かったチームからさらに上級生がいなくなった。だが、この離脱をきっかけにチームは一致団結する。

「僕たちが頑張って選手権本大会まで勝ち上がって、彼らに上の舞台を経験してもらいたいという想いが強くなった」(吉田)。

 すると、9月のリーグ戦から先発に抜擢されたラヤンや徳能が台頭し、下級生の力も加わってチーム力がアップ。攻撃面でも一から取り組み、「周りを見て止めて蹴る」(小松監督)といった基礎基本からやり直して状態が上向いた。

 調子を取り戻すと、今予選は準々決勝で夏の県王者・高知高にPK戦で勝利。接戦で競り負けない強さが備わり、この準決勝でも要所を締めて勝ち切った。

 2020年度の選手権以来となる全国舞台まであと1勝。しかし、まだ何も成し遂げていない。「次勝たないと意味がない」とは小松監督の言葉。決勝の相手は奇しくも高知国際に決まった。夏のリベンジを果たし、“明徳復活”の狼煙を上げる。

(取材・文 松尾祐希)

●第102回全国高校サッカー選手権特集
松尾祐希
Text by 松尾祐希

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