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「兄貴を超えるような選手になりたい」。拓大紅陵の10番MF細谷怜大は大学を経て兄のU-22日本代表FWを超える

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拓大紅陵高の10番MF細谷怜大(3年=柏レイソルA.A.TOR'82出身)は兄でU-22日本代表のFW細谷真大(柏)を超える

[11.5 選手権千葉県予選準決勝 市立船橋高 4-1 拓大紅陵高 柏の葉公園総合競技場]

 これからのサッカー人生で、「兄を超える」。拓大紅陵高の10番MF細谷怜大(3年=柏レイソルA.A.TOR'82出身)はシャドーの位置で存在感のある動き。低い位置まで下りてビルドアップに落ち着きをもたらしていたほか、中盤で得意のドリブルを繰り出し、市立船橋高の選手を剥がして一気にチームを前進させていた。

 終盤は1点を奪いに行くために右足シュートや崩しのパスにもチャレンジ。また、今大会はボランチとして相手の攻撃のキーマンを消す役割も果たしている。そのMFはプレミアリーグEASTに所属する名門・市立船橋相手にもドリブル、長短のパスと随所で自分の力を示していた。

 拓大紅陵はこの日、判断力と技術力と判断力を大事にする自分たちのサッカーを貫き、後半32分に1点を返した。だが、1-4で敗戦。細谷は「プレミアのレベルを感じた試合でした。自分が上手くゴール、アシストという結果を残せなかったので悔しかったです」と残念がった。

 それでも、本格強化5年でチームにとって初の千葉4強。細谷は「ベスト4は素直に嬉しいですし、プレミア相手にも戦えたのが大きい。最後まで紅陵らしいサッカーができたと思います。プレミア相手でも自分の通用するドリブル、パスもあったので、そこは大学でもやっていきたい」。就任5年目の嘉藤大樹監督が「これまでのOBの選手もコツコツやってきてくれて、僕の中では正直、この3年生は正直ターニングポイントになる学年かなと思っていた」という世代の中心選手として、歴史を塗り替えた。

 細谷の兄、FW細谷真大(柏)はU-22日本代表のエースストライカー。「自分にとっては尊敬する選手ですけれども、負けちゃいけない選手でもありますので。でも、本当に彼がいるので自分は強くなれていると思いますし、そこ(身近にそのような存在がいること)は他の選手とは違うところがあるんじゃないかと思っています」。兄の存在が自分を成長させてくれたと考えている。

 その兄は目標であり、超えなければならない存在だ。細谷は兄のような身体能力やスピードがあるわけでもない。だが、テクニックやサッカーセンスは大学関係者も認めるところ。豊富な運動量、ヘディングの強さも備えている。

「兄貴は超えたいですね。足元とか、兄貴とは違うポテンシャルで勝負したいです。最終的にはプロサッカー選手になって兄貴を超えるような選手になりたい」。卒業後は、関東1部の名門大学へ進学予定。まだまだ兄との差があることは理解している。厳しい競争の中で自分を磨き続けること。そして、一歩一歩目標に近づき、必ず超える。
 
(取材・文 吉田太郎)
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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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