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苦しい時間帯により輝く。静岡学園GK中村圭佑主将が静岡MVPに!

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静岡学園高のU-18日本代表GK中村圭佑主将(3年=FC東京U-15むさし出身、東京V内定)が静岡県予選の最高殊勲選手に

[11.11 選手権静岡県予選決勝 静岡学園高 2-1 藤枝東高 エコパ]

 静岡学園高のU-18日本代表GK中村圭佑主将(3年=FC東京U-15むさし出身、東京V内定)が静岡MVPに輝いた。決勝では前半29分に味方のミスから失点。だが、「そんな簡単に勝てると思っていなかった。1点取られることは想定内」と振り返る守護神は、切り替えて前半終了間際にファインセーブを見せるなど2点目を許さない。

 藤枝東高は逆サイドへ振ってからクロスを狙うなど、揺さぶりを掛けてきていた。「あれが得点パターン。それは脅威だったけれど、みんな集中して守れたので良かった」。クロスバーに救われるシーンもあったが、我慢の時間帯でゴールを守り続けたことが、後半26分のFW宮嵜隆之介(3年)の決勝点に結びついた。

 中村は昨年から名門校のゴールを守る。昨年は夏冬連続で静岡県予選敗退。思うような結果が出ない時期もあったが、一つ一つ壁を乗り越えてきた。今年、プレミアリーグWEST前半戦の静岡学園の首位ターンは中村の活躍があったからこそ。昨年まではチームを救うようなセーブが不足し、そのことを指摘されていた。だが、改善し、優勝したインターハイ予選を含めてビッグセーブの数を増やしている。

 また、プレミアリーグWEST後半戦はけが人が続出する中でチームは8試合でわずか2勝。後半戦初戦の大津高戦では、1点を追う試合終盤に中村のミスから失点したことで反撃ムードを消してしまった。責任感の強さが空回りする部分してしまい、チームを勝たせられなかった試合も。それでも、悔しい経験を糧とし、苦しい時間帯でより輝くGKになってきている。

 この日も、大事にしてきた勝負どころで好守。勝ち越されるピンチを凌いだ中村は「ああいうところで止めるのが自分の仕事。相手に取られちゃいけない時間帯もあるし、そこで取られていたら折れていた部分があったと思う。この試合に懸ける思いは人一倍強かったのでプレーに出ていて良かった」と決勝を勝ち切ったことを喜んだ。

 静岡学園では、元主将の浅野利紀GKコーチに鍛え抜かれ、周囲が驚くような反応スピードでのセーブも。本人もGKとしてできることの増加を実感している。そして、静岡の最高殊勲選手に選出。ただし、本人は受賞よりも勝ったことを喜んでいた。

「嬉しいですけれども、自分の評価よりもチームが優勝できたことが一番嬉しいです。みんなに自分が良く言うんですけれども、スタンドも、サッカー部も、静学全部一つになってみんなで勝とうという話をしている。その通りに応援も気合入れてやってくれたし、ピッチに出ている選手も出ていない選手も同じマインドで、みんなで取った1勝だと思う。MVPよりも勝てたことが嬉しいですね」

 今大会開幕前には19年度日本一世代の阿部健人主将(現メリーランド大)に連絡を取り、チームが悪い時にどうすれば良いか質問。返答は「できることを120パーセント頑張るしか無い」。日本一になるためにチームメートと一つになって全力で戦ってきた主将は、「(話して)凄い人だと思った」という阿部が成し遂げた日本一に自身も挑戦する。

「とにかく、自分の仕事は静学のゴールを守ること」。その上で、「ここまできたら(自分の名前を)歴史に刻みたい」という野心も持っている。12日から予定されているU-18日本代表のスペイン遠征含め、毎日を全力で過ごすことを継続。全国決勝まで成長を続けて偉大な先輩たちに続く。

(取材・文 吉田太郎)

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