beacon

「君たちは何を考えてサッカーをしてきたのか」…全国での悔しい敗戦を糧にした広島国際学院、夏冬連覇で選手権初出場!!

このエントリーをはてなブックマークに追加

広島国際学院高が夏冬連覇で選手権初出場

[11.19 高校選手権広島県予選決勝 広島国際学院高 1-0 瀬戸内高 広島広域公園第一球技場]

 第102回全国高校サッカー選手権広島県予選決勝が11月19日に行われ、広島国際学院高瀬戸内高を1-0で下し、うれしい初出場を決めた。

 6月の全国高校総体(インターハイ)予選決勝でも同じ会場で対戦し、1-1からのPK戦を制した広島国際学院が、選手権も含めて初の全国大会出場を果たしているカードの再戦。前半は谷崎元樹監督が「ウチの流れで入れたんじゃないかと思う」と振り返るように、広島国際学院が押し気味に進めた。両サイドのスペースを突いて攻め込む場面が多かったものの、2分(40分ハーフ)にFW石川撞真(3年)のパスで抜け出したDF島川翔汰(3年)の左足シュートは、瀬戸内GK田平悠斗(1年)がセーブ。17分にも同じスペースを突いて抜け出した島川が左足で狙ったが、これもGK田平がセーブした。

 なかなか良い形が作れなかった瀬戸内も徐々に押し返し、18分にFKを短くつないでからMF大田巧(3年)がエリア内に送ったクロスを、DF坂根秀(3年)がヘッドで狙うも、左ポストに当たってゴールキックに。39分には相手のクリアミスを拾ってフリーとなったFW上岡士恩(2年)が、エリア外右サイドから右足で狙ったが大きく外れ、どちらも得点を奪えずに前半を終えた。

 後半はパス回しに落ち着きが出てきた瀬戸内が、敵陣に押し込んで試合を進める時間を増やしていく。12分にはDF伊藤颯真(3年)のロングパスで左サイドを破り、MF國本純成(3年)が飛び出してきた広島国際学院GK片渕竣介(3年)よりも早くボールに触って中央へ折り返すが、シュートにはつながらず。その後も敵陣でのボール奪取からチャンスになりかけたシーンはあったものの、決定機を作るには至らない。

 一進一退の攻防が続いたが、終盤に広島国際学院が少ないチャンスを生かして均衡を破る。後半31分、左サイドから攻め込んで島川がセンタリングを送ると、ニアサイドに飛び込んだMF萩野巧也(3年)が鮮やかなヘディングシュートでネットを揺らした。

 その後は瀬戸内も前線へのロングパスを多用して何とかゴールをこじ開けようとするが、広島国際学院の守備は崩れない。前述の後半12分のプレーでGK片渕が負傷して治療の時間があったため、後半のアディショナルタイムは7分間と長かったが、40+5分の瀬戸内DF白水陽(2年)のミドルシュートも左に外れて決まらず、そのまま1点差で試合終了の笛が鳴った。

 広島国際学院は昨年の選手権予選で、インターハイ予選も含めて初めて決勝に進出したものの、広島皆実高に1-1からのPK戦で敗れていた。今年はインターハイ予選で全国大会初出場を果たすと、今回は夏冬連覇で選手権初出場。主将のDF茂田颯平(3年)は「先輩から応援のメッセージがたくさん来ていました。家族も見に来てくれていて、良い結果を見せたいと思っていたのでよかった」と笑顔で悲願達成を喜んだ。

 インターハイは1回戦で、同じく初出場の帝京五高(愛媛)と対戦。前半だけでシュート9本を放つなど押し気味に進めたが、後半14分の相手の初シュートで失点すると、そのシュート1本で0-1の悔しい敗戦を喫した。この日の決勝が似たような展開だったことを踏まえ、谷崎監督は「こうやって決まらない状況から負けたのがインターハイ。そこから君たちは何を考えてサッカーをしてきたのか、と言って後半に送り出した」という。経験を生かした選手は同じ轍を踏まず、後半にチャンスを生かして初の選手権出場を成し遂げた。

 次の目標は、全国大会での初勝利。谷崎監督は「まず1つ勝って、インターハイとは違う雰囲気を味わいたい」と意気込み、茂田は「最後のシュートを決めるところはFWに任せて、自分たちDFはシュートを打たれても負けないチームを作っていきたい」と冬の大舞台を見据えていた。

(取材・文 石倉利英)

●第102回全国高校サッカー選手権特集
石倉利英
Text by 石倉利英

TOP