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京都橘高OBのJリーガー小屋松、仙頭、岩崎、中野、山田が母校Gでクリスマスサッカーイベント。選手権に挑む後輩たちにもエール

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京都橘高の現役部員とOBのJリーガーたちが記念撮影

 23日、京都橘高(京都)OBによる、クリスマスサッカーイベントが同校のグラウンドで開催された。「生まれ育った京都の子どもたちに何かを与えてあげたかった」と話すMF小屋松知哉(柏)が、高校時代の同級生である東山高OB、北村明信さんにアイデアを打ち明けたことから始まった企画。現在はANAでキッズを対象とした「Blue Monster」というプロジェクトを行う北村氏の「ワクワクを子どもたちに与えたい」との想いと合致し、開催に至ったという。

 イベントには小屋松に加え、MF仙頭啓矢(柏)、FW岩崎悠人(鳥栖)、MF中野克哉(琉球)、FW山田剛綺(東京V)という京都橘OBのJリーガーたちが参加。応募した子どもたちとミニゲームとサッカーを用いたクイズ大会などを行った。岩崎が「子どもたちとの触れ合いは好きなので、楽しかった」と話せば、小屋松も「京都の地に帰ってきて、OBみんなでサッカーができて良かった」と続けるなど、イベントを満喫した様子だった。

 サッカーキッズとの交流とともに京都橘の現役部員とのミニゲームも行ない、イベント後には記念撮影も行った。選手権開幕を5日後に控えた選手たちの刺激になっており、主将のMF西川桂太(3年)は「仙頭選手、小屋松選手、中野選手が準優勝した代に憧れて、僕は橘に入学した。みんなから“頑張って”と声を掛けてもらえて嬉しかった。勝ち進んだら観に来てくれると言っていたので頑張りたい」と口にする。

 OBたちにとっても高校生の頃を思い出す良い機会になったのは間違いない。「選手権で人生が変わりましたし、自分の自信を付けてくれた舞台なので一生忘れられない」と口にするのは仙頭だ。チーム史上2度目の選手権出場となった彼らの代は、ダークホースとして大会を勝ち上がり、準優勝。仙頭はこう振り返る。「1試合1試合勝って行くごとに“俺ら全国でもやれるやん”とチーム全員が思えて、自信が付いた。個人としても、チームとしても自信を付けてくれるという意味では、選手権は本当に凄い舞台」

 仙頭の1歳下で、2トップを組んだ小屋松は「人生が変わった舞台の一つだったと思うし、選手権があったから違った人生になったと思う」と続ける。前年の準優勝に続き、小屋松が3年生で挑んだ翌2013年度大会も準決勝まで進み、チームは新鋭校から強豪校へと一気に駆け上がった。

 当時とは違い、選手権に出場すれば対戦相手に警戒される。難しさを分かっているからこそ、こんなエールを送る。「今の子たちは僕らとの時代とは世間の見られ方が違って強くなった分、結果が求められるけど、今の子たちが乗り越えなければいけない壁だと思う。僕らを超える結果を出してくれると期待しています」。

 中野は2人に続く代で、1年生の時は国立での決勝を、2年生の時は埼玉スタジアム2〇〇2での準決勝を経験している。「橘が名門になるためには、僕らが(連続出場を)途切れさせてはいけないという想いが強かった」と振り返る通り、自身が3年生で挑んだ2014年度はプレッシャーに打ち勝ち3連覇を達成。全国大会では準々決勝でMF鈴木徳真(C大阪)らを擁した前橋育英高に0-4で敗れたが、京都橘の歴史を作った一人であることは間違いない。「今年は3年ぶりの出場なので絶対に緊張すると思う。僕なんて3年連続で出たのに、自分らの代の初戦は凄く緊張して、硬くなっていた。楽しみながら勝ち進んで欲しい」。

 岩崎は1年生で挑んだ選手権での活躍を機に世代別代表の常連となった。3年生で挑んだ2016年度大会は大会の顔と言える存在で、注目度も高かったが、DF杉岡大暉(湘南)らを擁した市立船橋高に敗れ、初戦敗退。「代表でチームを離れる期間が長かったので、もっと同い年と一緒にいたかった。それに、あれだけ注目されながら、無得点のまま初戦敗退で終わったのは屈辱でした。だからこそ、またプロで頑張ろうと思えた」。後輩たちには、こんなエールを送る。「努力すれば、夢が叶うということを体現しやすい大会。楽しみながら、とにかく自分をアピールして欲しい」。

「選手権には魔物が住んでいる」と苦笑いするのは山田だ。1年生はメンバー外だったため、スタンドから応援。2年生は主力として期待されていたが、大会直前に体調を崩し、試合に出場できていない。3年生は予選準決勝でPK負けを喫したため、一度も選手権の舞台に立てないまま卒業していった。選手権に出る難しさをよく理解しているため、後輩たちを「予選決勝で逆転勝利はなかなかできない。信じ続けると報われるのだなと学ばせて思った」と称える。自身も今年加入した東京Vで逆転勝ちを何度も経験し、諦めない気持ちの重要性を学んだ。「奇跡は追い求めた人にしか訪れない。0-2までなら諦めるな。0-2ならひっくり返せる」とアドバイスを送る。

「プロになった選手は、選手権で結果を出している代が多い」と西川が話す通り、橘のレジェンドの多くは選手権を機に羽ばたいていった。今年の選手も先輩たちが受け継いできた歴史と想いを背負いながら、ブレークのきっかけを掴めるか注目だ。

子どもたちと一緒にプレーを見守るMF小屋松知哉(柏)

サッカーキッズとの交流だけでなく、先輩後輩との再会も楽しんだ




●第102回全国高校サッカー選手権特集
森田将義
Text by 森田将義

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