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1年生MFが後半ラストプレーで同点ヘッド!昌平がPK戦で米子北とのプレミア勢対決制す!

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昌平高がPK戦の末、3回戦進出。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[12.31 選手権2回戦 昌平高 1-1(PK4-3)米子北高 埼玉]

 プレミア勢対決は昌平が制す!! 31日、第102回全国高校サッカー選手権2回戦が行われ、昌平高(埼玉)と米子北高(鳥取)との一戦は、後半ラストプレーで昌平のU-16日本代表MF長璃喜(1年)が同点ゴール。PK戦を4-3で制した昌平が3回戦へ進出した。

 2回戦で実現したプレミアリーグ対決。昌平が7-0で勝った初戦から先発1人を変更したのに対し、米子北は4-0で勝った初戦で先発を外れていたU-17日本高校選抜候補CB梶磨佐志(3年)や注目SB樋渡蓮音(2年)ら先発5人を入れ替えてビッグマッチに臨んだ。

 前半から拮抗した戦いとなったが、より狙いとする戦いを表現したのは米子北の方だった。前線から連続性の高いプレッシングで昌平のパスワークに制限をかけ、中盤でゲーム主将のU-17日本高校選抜MF仲田堅信(3年)が奪い返しの回数を増加。また、前線ではエースFW森田尚人(3年)がボールを上手く引き出して仕掛けに持ち込む。25分には素早くパスを繋ぎ、この日推進力を発揮していた樋渡がDFを振り切って右クロス。これを森田が右足ボレーで狙った。

 一方、昌平は相手の運動量に苦戦しながらも攻め返す。12分にはMF大谷湊斗(2年) が奪い返しから左へ展開。DFと入れ替わったU-17日本高校選抜FW小田晄平(3年) がシュートへ持ち込む。また、15分にはFW鄭志錫(2年)が左サイドで前を向き、U-17日本高校選抜候補MF土谷飛雅(3年)のループパスから初先発のMF前田大樹(3年)が右足シュート。また、昌平はU-17日本高校選抜の10番MF長準喜(3年)が幾度かドリブルで中盤を攻略し、個の力でシュートを打ち込むシーンもあった。

 だが、米子北は梶とCB藤原壮志朗(3年)が最後の局面で決定打を打たせず、また随所で前への強さを見せていた。一方の昌平もキャプテンマークを巻くCB 佐怒賀大門(3年)がPAでインターセプトするなど集中した守り。0-0で前半を折り返した。

 昌平の村松明人監督は「(自分で考えて何とかするよりも、)味方に渡すというマインドになっていたのが数名いた」と振り返る。そして、「ただ頑張る、ただ走る頑張るが優先しているように見えて、サッカー考えているところが本当に疑問で」厳しく指摘したという。米子北は組織的な守備だけでなく、個々の守りも上手い。それを嫌がって自発的なプレーができなくなっていた。

 試合は好内容のゲームを続ける米子北が、セットプレーで先制点を奪う。後半7分、藤原が左サイドからロングスロー。クリアをPA内右へ繋ぐと、混戦からFW鈴木颯人(2年)が右足を振る。ボールは中央のMF柴野惺(2年)の下へ繋がり、この2年生ボランチが右足ダイレクトでゴールへ蹴り込んだ。

 昌平は直後にMF西嶋大翔(3年)を投入すると、14分のMF鈴木宏幸(2年)投入で大谷のポジションを上げ、4-4-2から4-2-3-1へシステムを変更する。敵陣でボールを動かすが、米子北は構えながら相手の攻撃に対応。逆にカウンターやクロスからチャンスを作って見せる。

 昌平は26分、「ハーフタイムに村松コーチから言葉があって、(チーム全体が)怖がっているみたいな。強い言葉をもらって、ハーフタイムに気持ちが変わって後半に臨めたと思います」という長準が、中盤の低い位置からの果敢なドリブルで持ち上がり、一気にスピードアップ。そして、西嶋とのワンツーでPAへ侵入してGKとの1対1から右足シュートを放つ。だが、米子北GK尾崎巧望(3年)が右足で止めてガッツポーズ。昌平は31分、最後の交代カードとして長準の弟である長璃とFW工藤聖太郎(3年)を同時投入する。

 昌平は村松監督が高評価していた西嶋や大谷が局面をドリブル突破。そして、PAへのパス、シュートに結びつけるが、米子北DFは的確なカバーリングやブロックを継続する。相手のドリブルを3、4人がかりで止めに行くなど泥臭い守り。だが、森田らが決定機を迎えながら決め切ることができない。そして試合終了間際、GK佐々木智太郎(2年)を中心に2点目を許さなかった昌平に劇的な同点ゴールが生まれた。

 40+4分、昌平は右サイドのスペースでボールを持った大谷が落ち着き払ったボールコントロール。タックルに来たDFを剥がしてエンドライン際へ切れ込む。そして、サポートした右SB 田中瞭生(3年)がクロス。これを長璃が頭でゴールへ叩き込んだ。地元・昌平のゴールに大歓声が巻き起こる中、後半終了のホイッスル。米子北の中村真吾監督は「2点目を取れなかったことと、最後飲まれている感じはしなかったけれど、結果的にあれで点を取られたということは飲まれたかなと」と残念がった。

 米子北は切り替えてPK戦に臨んだが、守りを支えてきた1人目・梶と3人目・藤原のシュートがいずれもポスト。GK尾崎が相手1人目の長準を止めたものの、リードを奪われてしまう。昌平は2人目の佐怒賀、田中、大谷が決めると、最後は西嶋が右足で決めて4-3。初出場した14年大会で敗れている米子北にリベンジし、3回戦進出を果たした。

(取材・文 吉田太郎)


●第102回全国高校サッカー選手権特集
吉田太郎
Text by 吉田太郎

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