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大会直前に2トップシステムに変更の昌平が初戦を7発圧勝「準備してきたことを出せた」次戦は東西プレミア対決

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(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[12.29 選手権1回戦 昌平7-0奈良育英 埼スタ]

 第102回全国高校サッカー選手権の1回戦が29日に行われ、埼玉スタジアムの第1試合では昌平高(埼玉)が奈良育英高(奈良)に7-0で大勝した。31日の2回戦では、米子北高(鳥取)との東西プレミア勢対決になる。

 立ち上がりから昌平が圧倒的にボールを支配してゲームを進めた。先制点は前半11分、カウンターからMF土谷飛雅(3年)のパスで裏を取ったFW鄭志錫(2年)がGKと1対1から横パスを選択。FW小田晄平(3年)が無人のゴールに流し込んでスコアを動かすと、同25分にはGK佐々木智太郎(2年)のロングボールに鄭が競り勝つと、小田を経由したボールを土谷が蹴り込んでリードを広げる。

 前半36分にはMF長準喜(3年)のシュートのこぼれ球を鄭がニアで押し込んで加点。前半を3点リードで折り返すことに成功すると、後半はやや低調な入りをしてしまったが、後半21分にFW工藤聖太郎(3年)のヘッドで裏に抜けた鄭がGKとの1対1を決め切って4点目が決まる。そして同26分にはMF西嶋大翔(3年)、同33分にMF長璃喜(1年)、そして後半アディショナルタイム1分に工藤に得点が生まれ、終わってみれば7得点を奪う圧勝劇で、初戦突破を決めた。

 今季、高校年代最高峰のプレミアリーグEASTで7位の成績を残した昌平だが、得点数は30。優勝した青森山田が54得点、2位の尚志が46得点だったことを考えると、差をつけられた。そこでプレミアリーグの戦いを終えた今月上旬からシステムを4-2-3-1から4-4-2に変更。2トップにすることで、攻撃に厚みを持たせようと考えた。

 ただ村松明人監督によると、どこかのタイミングでしようと思っていたようだ。そのため約3週間と準備期間は短かったが、選手たちも意図をくみ取ってしっかりと対応。直前に行った今大会出場校との練習試合でも、手ごたえを掴むことが出来ていたという。「今日もしっかりと準備してきたことを出せた部分はあると思います」。

 しかしこの戦い方を定着させるわけではなく、次戦以降は先発メンバーの人選も含めて、相手をみながら考えていきたいという。「今日も途中出場だった西嶋や前田は予選ではフルタイムで出ていた選手。誰がスタートでもやれる選手が多いので、自信を持って起用できると思います」。

 今季の昌平は夏のインターハイ予選で準決勝敗退。今秋には同校を強豪校に引き上げた藤島崇之前監督の退任という激震も走った。ただ村松監督は「選手たちはサッカーの部分はものすごく頑張っていて、夏は負けたけど、そこまで悪い状況ではなかった。選手たちは前を向いて、成長する思いも強い」と選手らの頑張りに感謝の思いが強いという。

 今夏に主将DF石川穂高が左ひざ前十字靭帯断裂の大怪我で離脱。チーム内には「穂高のために」と例年以上に団結する思いも強い。そのためにも一戦一戦。10番MF長準喜も「自分たちの目標は日本一ですけど、そのために一戦一戦集中しないといけない。次の試合だけに目を向けてやっていきたい」と力強く話していた。

(取材・文 児玉幸洋)

●第102回全国高校サッカー選手権特集
児玉幸洋
Text by 児玉幸洋

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