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初出場・広島国際学院が躍進3回戦へ!「全員キーマン」「1対1では守れない。2対1でも難しい」対静学プラン完遂

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静岡学園を破った広島国際学院高(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[12.31 選手権2回戦 広島国際学院 1-1(PK4-3) 静岡学園 浦和駒場]

 国立競技場での開幕戦で歴史的な勝利を飾った初出場の広島国際学院高が、2回戦で過去2度の日本一を誇る静岡学園高を破った。シュート数では5対19と圧倒されたが、5-4-1の守備ブロックで技巧派軍団を1失点に抑え、最後はPK戦で3回戦への切符を勝ち取った。

 試合後、圧倒されながらしぶとく掴み取った勝利に谷崎元樹監督は「守る楽しさじゃないけど、新しい楽しさを彼ら自身が見つけて行って、それに対して一生懸命取り組むことができたんじゃないかと思う」と前向きに語った。

 対戦相手の静岡学園は最前線のFW神田奏真(3年/川崎F内定)、10番のMF高田優(3年/徳島内定)を筆頭に高い技術を誇る攻撃的なチーム。それでも広島国際学院は臆せず挑み、前半からボールを持たれながらもコンパクトな守備組織で危険なエリアに入れさせず、DF茂田颯平(3年)を中心に粘り強い守りを続けていた。

「たぶん1対1では守れない。2対1でも難しいかなという部分があって、3対3ならいけるんじゃないかと。人数の多いところで守り切ろうと。サイドは縦の突破を消して、横のドリブルとかパスから守備をしようと話していた。人数が多くないと守れないと思ったので」(谷崎監督)

 狙いどおりに守れていた局面もあれば、常に逆を取ろうとしてくる相手のアイデアに崩された局面もあった。試合前には大谷翔平がWBC(ワールドベースボールクラシック)のアメリカ戦前に発した「憧れるのをやめましょう」という言葉を選手に働きかけていたという指揮官だが、感嘆しながらテクニカルエリアに立っていたという。

「全員キーマンじゃないですか。むっちゃ上手かったですね。僕も生まれた時から静学さんは強かったので、もう生徒らには大谷翔平選手の言葉じゃないけど、憧れちゃダメだと。憧れたら絶対に勝てないからという話を昨日の夜のミーティングでしたんですが、自分自身がちょっと憧れちゃっている部分もあったりしながら、この気持ちは消さないかんと思いながらあそこに立ち続けました」(谷崎監督)

 それでも選手たちは指揮官の言葉どおりに憧れを捨て、0-0の後半に果敢な姿勢を結実させた。8分、自陣深くのクリアボールを起点に右サイドでカウンターを仕掛けると、スピード自慢のFW野見明輝(3年)が長いタッチのドリブルで突破。グラウンダークロスをゴール前に通し、後半から投入されたMF石川撞真(3年)が先制ゴールを奪った。

「守っていた中でもワンチャンスはモノにできるかなと思っていた。野見のスピードは相手も嫌がっているだろうと。石川を入れたらかき回せるんじゃないかと思って。コンビネーションも上手だし、意思疎通も取れるかなと」(谷崎監督)。指揮官にとってもプランどおりの先制点だった。

 その後、すぐさま後半15分に同点に追いつかれたが、選手たちに動揺はなかった。「点は多分取られるし、無失点はなかなか難しいよと。1点は仕方ないとやれたんじゃないかと思う」。

 それどころか最終盤にはあわや決勝点という野見の決定機も。「PKで逃げ切ろうとは言っていない。とにかく攻めろと。点取って勝たんと面白くないと。ラインを下げるなと。でも強い相手とさせてもらえるのが好きな人たちなので、向かって行け!という感じですね。本当に楽しんでおいでと送り出していました」。その勢いをPK戦でも持続し、見事な突破劇となった。

 国立競技場での開幕戦・早稲田実戦(○2-0)に続き、勢いに乗る初出場校にとっては大きく勢いに乗る金星。3回戦では過去7大会で3度の優勝を成し遂げている青森山田高が待ち受けるが、指揮官は「一山越えたら大きな山があるので臆することなく行きたいなと。引いて守るのは嫌なので、とにかく前に勝負できたらなと思います」と力を込めた。

(取材・文 竹内達也)

●第102回全国高校サッカー選手権特集
竹内達也
Text by 竹内達也

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