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「強豪校として」見られた選手権、夏の王者・明秀日立のエース石橋鞘は成長を実感

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先制となるミドルシュートを決めた明秀日立高のFW石橋鞘

[1.2 選手権3回戦 明秀日立高 1-1(PK2-4)近江高 等々力]

 両チーム通じて最多5本のシュートを放った。そのうちの1本を先制点に結びつけた。それでも勝利につなげることはできなかったーー。明秀日立高(茨城)のエースであるFW石橋鞘(3年)は、敗戦を前に落胆の色を隠すことはなかった。

 先制点は素晴らしいパスワークから生まれた。ボランチのMF大原大和(3年)がFW熊崎瑛太(3年)に縦パスをつけると、ダイレクトで石場にはたく。石橋は前線に上がっていたもう1人のボランチ、MF吉田裕哉(3年)に縦パスを入れると、吉田は相手を背負いながら石橋に落とす。ゴールまで20mほどの距離から、石橋は右足を振り切ると、GKの頭上を抜いてゴールを陥れた。

 前半12分には、似たような位置から左足で狙ってゴールポストを叩いていたが、しっかりと決めきってみせた。「最初に2本チャンスがあっても決めきれなかったんですけど、落ち着いて3本目でしっかり決められました」。1回戦に続く今大会2ゴール目を、石橋は回想した。

 インターハイを制し、夏の王者として臨んだ選手権。6校目となる夏冬連覇への道のりは、ベスト16で途絶えてしまった。夏の王者の称号は、明秀日立にとって重圧となっていたのだろうか? 

「夏に優勝していなかったら、こんなに注目されてないと思いますし、強豪校として見られているんだなっていうのは感じました」。石橋はむしろチームにとってポジティブな効果があったことを指摘する。

 石橋個人としては、3試合で2得点。「満足とは言い切れないですけど」「すごく楽しくて。3回しか試合はできていないですけど、すごい成長できた大会でした」と手応えを感じた最後の選手権だった。

 卒業後は日本大学への進学が決まっているという石橋は、「この悔しさを日頃の練習からもっと頑張って、自分の良さをもっと磨いて、メンタルとかいろんな面で成長していきたいです」と、高校サッカーで得た経験を胸に、新たな4年間でのレベルアップを誓った。

(取材・文 奥山典幸)

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奥山典幸
Text by 奥山典幸

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