beacon

夏冬2冠への挑戦は3回戦で終幕。明秀日立指揮官は歴史変えた3年生たちの功績を讃える

このエントリーをはてなブックマークに追加

夏冬2冠を目指した明秀日立高の挑戦は3回戦で終幕

[1.2 選手権3回戦 明秀日立高 1-1(PK2-4)近江高 等々力]

 史上6校目となる夏冬2冠への挑戦は3回戦で幕を閉じた。昨夏のインターハイで初優勝を飾った明秀日立高(茨城)は本気で夏冬2冠を目指してきたが、3回戦で敗退。PK戦で涙をのんだ。

 前半、鋭いアプローチの守備と鋭い攻撃で主導権を握った。萬場努監督は「ウチのプレッシングと近江のスキルが初顔合わせだったので。負けたくない、というよりは自分たちの強さを出したい、ということだったので、アグレッシブにやってくれたというのは(自分たちの強さを)期待通りに出してくれたと思います」と振り返る。

 個々のスキルの高い近江高の攻撃を封鎖。特に中盤での潰しは利いていた。入れ替わられそうになるシーンもあったが、MF大原大和(3年)がスライディングタックルでのインターセプトを連発。高い位置での奪い返しから素早くFW熊崎瑛太(3年)やエースFW石橋鞘(3年)へパスを通して相手を押し込んだ。

 そして、前半22分、大原の縦パスを起点とした攻撃から、中央のMF石橋鞘(3年)がMF吉田裕哉(3年)からの落としを受ける。そして、右へのコントロールから右足ミドル。GK頭上へ素晴らしい一撃を決め、先制に成功した。

 だが、優位に試合を進めていた時間帯で2点目を奪うことができなかった。31分には、最終ラインで高さを発揮していたDF山本凌(3年)がFKから決定的なヘッド。前半のシュート数は9-1と大きく上回ったものの、終盤は奪いきれずに押し返されるシーンも目立った。

「ゲームの運び方で言えば、あそこらへんで2点目が取れたり、相手の逃げ道を塞いだりしながら上手に試合を進めたいなというのがあったんですけれども、ちょっとしたズレとか、判断(ミス)とか、ロストボールの仕方とかで相手に自信を持たせてしまった」(萬場監督)

 後半7分にPAでのアンラッキーなハンドでPKを献上。今大会3試合目で近江よりも1試合多い明秀日立は消耗する中、高い位置で起点を作られるなど後半は苦しい展開となった。それでも、GK重松陽(2年)のファインセーブなどで2点目を許さず、セットプレーなどからチャンスも。だが、再び勝ち越すことができなかった。PK戦では、チームの中心選手である石橋と右WB長谷川幸蔵(3年)が連続で止められて2-4。涙の敗退となった。

 萬場監督は「我々が高校世代でチャンピオンに相応しいかと言ったら、まだまだ上手くないし、強くない」と説明する。それでも特長である強度や、選手たちの将来のために質の部分にもよりこだわってインターハイ後の成長を目指してきた。この日はその部分も大いに発揮。指揮官は熱心に取り組み、インターハイ日本一でチームの歴史を変えた世代の功績を讃える。

「本当に、熱心に様々な場面で取り組んでくれる子が多いので、こういう基準で物事を考えられるチームの文化、風土をちゃんと継承していきたいなというのは、今年の子たちの功績なんじゃないかなと思っています」。本気で2冠を目指したこの世代のように、今後も高い目線を持ち続けて、全国大会上位を争い続けるチーム、一年間成長し続けるチームになる。

(取材・文 吉田太郎)


●第102回全国高校サッカー選手権特集
吉田太郎
Text by 吉田太郎

TOP