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強豪連破の明秀日立が「夏の主役」に!PK戦で桐光学園を下し、初優勝!

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明秀日立高が初、茨城県勢44年ぶりの日本一

[8.4 インハイ決勝 桐光学園高 2-2(PK6-7)明秀日立高 花咲スポーツ公園陸上競技場]

 明秀日立が初優勝! 夏の高校サッカー日本一をけた令和5年度全国高校総体(インターハイ)「翔び立て若き翼 北海道総体 2023」男子サッカー競技は4日、旭川市の花咲スポーツ公園陸上競技場で決勝戦を行った。桐光学園高(神奈川1)と明秀日立高(茨城)が激突。明秀日立が2点を先取したが、桐光学園が追いついて見せる。2-2のまま突入した延長戦も互いに譲らず、PK戦へ。このPK戦を明秀日立が7-6で制し、初優勝を果たした。

 神奈川の伝統校・桐光学園は初優勝した19年大会以来、4年ぶり3度目の決勝進出。怪我を抱える注目MF齋藤俊輔(3年)が準決勝に負った怪我の影響でベンチスタートとなった。4-4-2システムのGKが渡辺勇樹主将(3年)、4バックは右SB杉野太一(2年)、CB川村優介(3年)、CB平田翔之介(3年)、左SB加藤竣(3年)。中盤は小西碧波(3年)と羽田野紘矢(3年)のダブルボランチ、右SHがU-17日本高校選抜の10番MF松田悠世(3年)、左SHが吉田晃大(2年)、2トップは宮下拓弥(3年)と丸茂晴翔(2年)がコンビを組んだ。

 一方、明秀日立は静岡学園高(静岡)、森山田高(青森)と優勝候補を倒し、初の準々決勝進出。そして、準決勝、決勝と初めて勝ち上がってきた。79年大会の水戸商高以来、茨城県勢44年ぶりとる優勝をかけた決勝は4-1-4-1システム。GKが重松陽(2年)、右SB長谷川幸蔵(3年)、CB飯田朝陽(3年)、CB山本凌主将(3年)、左SB阿部巧実(2年)。中盤は大原大和(3年)がアンカーの位置に入り、吉田裕哉(3年)と石橋鞘(3年)、の2シャドー、右SH柴田健成(2年)、左SH益子峻輔(3年)、1トップに準決勝2発の熊崎瑛太(3年)が構えた。

 立ち上がりは桐光学園がプッシュ。だが、徐々に明秀日立が奪い返すシーンが増え、高い位置へボールを運ぶ。そこからコンビネーションによる崩しにチャレンジ。石橋と吉田のパス交換などでゴールへ迫ると、11分に先制点を奪った。石橋とのパス交換で長谷川が右サイドを抜け出す。そして、マイナスのラストパス。最後は柴田が左足でゴールへ流し込んだ。

 先制された桐光学園は、注目レフティーの松田が存在感ある動き。瞬間的なスピードで相手の前へ潜り込むと、コーナー付近での巧みな身のこなしにスタンドから「上手い!」という声も挙がっていた。
 
 だが、縦へボールを入れ合う展開で優位に立ったのは明秀日立の方。落ち着いた対応の光るCB山本をはじめ、飯田や阿部が前に出てボールを奪い取る。また、長谷川に対人の強さに加え、カウンターで馬力のある動きを見せる。

 明秀日立はロングボールだけでなく、吉田や益子がファーストディフェンスを剥がす上手さも。そして19分、中央の大原が相手DFのギャップへグラウンダーの縦パス。熊崎がこれを残すと、サポートした柴田が左足シュートを右隅に決めて2-0とした。

 桐光学園も小西がインターセプトするなど好守からボールを保持する時間を増加。コンビネーションや松田、吉田の仕掛けなどアタックする回数を増やした。そして31分、FKから宮下が頭で決めて1点差。その桐光学園は後半開始から丸茂と齋藤を入れ替え、同点を目指す。

 後半2分、投入されたばかりの齋藤が正面左寄りの位置から放った右足FKが左ポストをヒット。宮下が前線で健闘して競り勝っていたほか、羽田野のインターセプトから松田がドリブルシュートへ持ち込むなど相手にプレッシャーをかける。また、DFラインで平田が高さを発揮。中盤で存在感を増した小西をはじめ、川村や杉野、加藤のDFラインも相手の力強い攻撃に対応する。

 明秀日立は押し込んでクロスへ持ち込むシーンもあったが、その回数を増やすことができない。13分に益子に代えてMF斉藤生樹(3年)を投入するが、桐光学園の流れは変わらない。16分、桐光学園は相手を押し込むと、左サイドの齋藤から鋭いパス。トップ下へポジションを移していた松田が絶妙なコントロールから左足シュートを右隅へ突き刺し、同点に追いついた。

 明秀日立は失点直後に2枚替え。石橋と熊崎に代え、切り札の10番FW根岸隼(3年)とMF竹花龍生(2年)をピッチへ送り出す。このあと、互いにセットプレーからビッグチャンス。28分には桐光学園MF松田が高速ドリブルから左足シュートへ持ち込むが、明秀日立DFがブロックする。

 桐光学園はさらに齋藤のドリブルシュートがゴールを脅かす。桐光学園が大きな展開を交えてボールを動かし、ゲームコントロール。フィニッシュまで持ち込む。だが、今大会で終盤の強さを発揮してきた明秀日立も粘り強い。逆にセットプレーからチャンスを作り返したが、吉田とFW増田遥希(2年)を入れ替えた桐光学園も譲らず、2-2のまま後半を終了した。

 明秀日立は延長開始から柴田に代えてMF今野生斗(3年)を投入する。延長開始直後、相手の一瞬の隙を突いた桐光学園FW宮下がヘディングシュート。明秀日立もやや相手を引き込んでからスペースを活用した攻撃を見せる。

 延長後半、桐光学園は松田、齋藤がドリブルでゴールへ迫る。だが、明秀日立DFが食らいついて決定打を打たせない。逆にロングボールから根岸が一気に前進。だが、互いに素晴らしい守備を見せ、2-2のまま延長戦を終えた。

 日本一をかけたPK戦はともに6人が成功。そして7人目、先攻・明秀日立が決めたのに対し、桐光学園のシュートを明秀日立GK重松がストップする。この瞬間、決着。明秀日立が初優勝を果たした。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2023

吉田太郎
Text by 吉田太郎

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