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[MOM4617]青森山田FW米谷壮史(3年)_小5で憧れた元青森山田FWに並ぶ日本一&得点王

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(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.8 選手権決勝 青森山田-近江 国立]

 やっぱり強いなーー。決勝を見た多くの人の感想ではないだろうか。後半開始直後に同点とされた青森山田高(青森)だったが、後半15分、GK鈴木将永(3年)のロングキックからMF福島健太(3年)がヘディングでそらしてMF川原良介(3年)が浮き球をDFの背後に出す。そこに走り込んだFW米谷壮史(3年)がGKとの1対1をかわして、無人のゴールに流し込んだ。

 電光石火の勝ち越し劇。米谷は「今年1年、正木(昌宣)監督から背後に走れと言われ続けてきて、最後にあそこに川原を信じて走れたのがゴールに繋がった」と笑みを浮かべると、「GKと1対1になった時も冷静に判断できた。全員が繋いでくれたゴールだったと思います」と充実の汗を拭った。

 試合後の場内インタビューでは、声を詰まらせる場面があった。「(中学から)6年間、雪の中できついときもいっぱいあって、このままで日本一になれるのかなと思った時もあったんですけど、そういう時もこの仲間といたから乗り越えられたし、その仲間と日本一になれたことが嬉しくて、自然と涙が出ました」。

 青森県出身の米谷にとっては、青森山田で日本一を獲ることが子供のころに抱いた夢だった。特に小学校5年生の時に見た高校選手権を初優勝する姿は、今でも脳裏に焼き付いている。当時、得点王を獲得してチームを日本一に導いた鳴海彰人さんは、憧れであり、目標であり続けた。

「山田に入るときから鳴海選手に憧れていました。決勝の胸トラからのゴールは自分もやりたいなと思って山田でサッカーをやってきた。同じように決勝で点を取れて、優勝できてうれしいです」

 心残りがあるとすれば、単独得点王の獲得はならなかったことだろうか。試合前の時点で、得点ランクトップのFW郡司璃来(市立船橋3年)と1点差の2位。「狙っていた」と話す得点王を単独で獲得するためには、少なくとも2点が必要だった。

 その悔しさは成長の肥やしにする。卒業後は関東大学サッカーリーグ1部の東海大に進学して、研鑽を深めていくことになる。「(悔しさは)大学でプロになるためのエネルギーにして、プロで郡司選手を追い抜けるように頑張っていきたいです」。選手権得点王の肩書きを堂々と掲げ、次なるステージに進む。

(取材・文 児玉幸洋)

●第102回全国高校サッカー選手権特集
児玉幸洋
Text by 児玉幸洋

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