高校年代から憧れだった青森山田のユニフォームに身を包んだDF小泉佳絃「やりきった山田の3年間」
[1.8 選手権決勝 青森山田高 3-1 近江高 国立]
昔から憧れていたチームで、かつては思ってもみなかった選手権制覇ーー。青森山田高(青森)のDF小泉佳絃(3年)は、笑顔を弾けさせた。
地元・青森県出身の小泉は、中学年代は青森山田中ではなくウインズFCに所属し、高校年代から青森山田の門戸を叩いた。「青森県民でもありましたし、青森山田は毎日憧れていた存在」というチームにおいて、「優勝するなんて1年生のときは思ってもいなかった」と回想する。
3年生の6月の時点では、セットプレーで得点に貢献できていないことを口にする。2年前に選手権を含めた“3冠”を達成したときのセンターバック・丸山大和(東海大)を引き合いに出して、同じポジション、同じ背番号5である自身の物足りなさを痛感していた。
「(丸山)大和さんはヘディングで決めていますし、そこは試合前に動画とかも見ているんですけれども、自分はまだまだというのがあるんですけれども、決めたいというのが凄くあります。今年、まだセットプレーでゼロ点ですし、サニックス(カップ、3月)では取ったんですけれども、そこから1点も取れていないので、自分が『空中戦の覇者』というか、それくらいの気持ちでやっていかないといけないと思います」
その後、190cmの長身を武器にプレミアリーグEASTでも得点を重ねていった小泉は、冬の大舞台ではセットプレーから3ゴールを記録。守っては相棒のDF山本虎(3年)とともにゴール前の壁として立ちはだかり、5試合3失点と堅守を築いた。「守備のところでは、対人も自信になりました」と大会での出来を振り返ると、「やりきった山田の3年間」と胸を張った。
日本一になったセンターバックが「悔いが残る」と自身への不満を顕にしたのが、後半立ち上がりのシーンだ。3回戦・広島国際学院戦では後半3分(記録上はオウンゴール)、準々決勝・昌平戦では後半4分に小泉自身が得点しているように、近江の前田高孝監督が「ラッシュ」と形容した前半だけでなく、青森山田は後半も立ち上がりに強い。ところが、そのお株を奪うかのうように近江に攻勢をかけられる。
自陣深い位置まで押し込まれる展開が開始数十秒でつくられる。2分には、最終ラインを離れてMF浅井晴孔(3年)にアプローチをした小泉をかわされると、DF小沼蒼珠(2年)も抜かれてしまう。浅井が右サイドに展開、DF金山耀太(3年)にGKと最終ラインの間へクロスを通されると、小泉とDF小林拓斗(3年)の懸命な戻りも間に合わず、MF山本諒(2年)に押し込まれて同点にされてしまった。「近江さんも後半にギアを上げてくるのをわかっていたんですけど。センターバックでもっと締めれた部分でした」。終わってみれば、近江に許した後半のシュートはこの1本のみで、その後は危なげなく試合を進めながらも、小泉はさらなる成長をうながした。
決勝の後に発表された大会優秀選手には、小泉が山本ともに選出された。「特になろうと意識していたわけではないんですけど」と目の前の試合に集中していたセンターバックは、「見てくれる人がそうやって自分を評価してくれるのはすごく嬉しいです」と素直によろこんだ。
(取材・文 奥山典幸)
●第102回全国高校サッカー選手権特集
昔から憧れていたチームで、かつては思ってもみなかった選手権制覇ーー。青森山田高(青森)のDF小泉佳絃(3年)は、笑顔を弾けさせた。
地元・青森県出身の小泉は、中学年代は青森山田中ではなくウインズFCに所属し、高校年代から青森山田の門戸を叩いた。「青森県民でもありましたし、青森山田は毎日憧れていた存在」というチームにおいて、「優勝するなんて1年生のときは思ってもいなかった」と回想する。
3年生の6月の時点では、セットプレーで得点に貢献できていないことを口にする。2年前に選手権を含めた“3冠”を達成したときのセンターバック・丸山大和(東海大)を引き合いに出して、同じポジション、同じ背番号5である自身の物足りなさを痛感していた。
「(丸山)大和さんはヘディングで決めていますし、そこは試合前に動画とかも見ているんですけれども、自分はまだまだというのがあるんですけれども、決めたいというのが凄くあります。今年、まだセットプレーでゼロ点ですし、サニックス(カップ、3月)では取ったんですけれども、そこから1点も取れていないので、自分が『空中戦の覇者』というか、それくらいの気持ちでやっていかないといけないと思います」
その後、190cmの長身を武器にプレミアリーグEASTでも得点を重ねていった小泉は、冬の大舞台ではセットプレーから3ゴールを記録。守っては相棒のDF山本虎(3年)とともにゴール前の壁として立ちはだかり、5試合3失点と堅守を築いた。「守備のところでは、対人も自信になりました」と大会での出来を振り返ると、「やりきった山田の3年間」と胸を張った。
日本一になったセンターバックが「悔いが残る」と自身への不満を顕にしたのが、後半立ち上がりのシーンだ。3回戦・広島国際学院戦では後半3分(記録上はオウンゴール)、準々決勝・昌平戦では後半4分に小泉自身が得点しているように、近江の前田高孝監督が「ラッシュ」と形容した前半だけでなく、青森山田は後半も立ち上がりに強い。ところが、そのお株を奪うかのうように近江に攻勢をかけられる。
自陣深い位置まで押し込まれる展開が開始数十秒でつくられる。2分には、最終ラインを離れてMF浅井晴孔(3年)にアプローチをした小泉をかわされると、DF小沼蒼珠(2年)も抜かれてしまう。浅井が右サイドに展開、DF金山耀太(3年)にGKと最終ラインの間へクロスを通されると、小泉とDF小林拓斗(3年)の懸命な戻りも間に合わず、MF山本諒(2年)に押し込まれて同点にされてしまった。「近江さんも後半にギアを上げてくるのをわかっていたんですけど。センターバックでもっと締めれた部分でした」。終わってみれば、近江に許した後半のシュートはこの1本のみで、その後は危なげなく試合を進めながらも、小泉はさらなる成長をうながした。
決勝の後に発表された大会優秀選手には、小泉が山本ともに選出された。「特になろうと意識していたわけではないんですけど」と目の前の試合に集中していたセンターバックは、「見てくれる人がそうやって自分を評価してくれるのはすごく嬉しいです」と素直によろこんだ。
(取材・文 奥山典幸)
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