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[大学選手権]関東or地方?1年目から主力定着、出場機会を求めた北陸大ルーキーMF横山の選択

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[12.8 全日本大学選手権1回戦 北陸大1-0常葉大浜松 町田]

 何よりも出場機会を求め、地元・町田から遠く離れた石川県・北陸大での挑戦を選んだ。北陸大に所属するMF横山暁之(1年=東京Vユース)は1年生ながら、全日本大学選手権の1回戦・常葉大学浜松キャンパス戦に先発。ドリブルで仕掛けるなど、持ち前の技術を武器にらしさをみせると、同校史上初のインカレ白星獲得に貢献した。

 東京ヴェルディユース所属時は、タレント軍団のなかで出場機会は多くなかった。それゆえに進路を決める際には「関東で埋もれているよりも、少しでもこういう(全国の)舞台にたくさん立って、自分をアピールしたほうがいいのかな」と思うに至ったという。そして練習参加を経て、北陸大への進学を決めた。

 高校年代に控えだった選手が、関東1部や2部の強豪校などへ進学するよりも、全体数の少ない地方の大学へ進学した方が総理大臣杯やインカレなどの全国大会へ“近い”という事実はある。また大学では地域選抜に選ばれれば、多くのJクラブスカウトが見に来るデンソーカップチャレンジ(地域選抜対抗戦)に参加できる。関東や関西のタレントが揃った大人数のなかで、わずか枠を争うよりも、地方の大学で結果を残し、その地域の選抜入りを目指すのは一つの考えといえるだろう。

 同大を指揮する西川周吾監督は横山について「去年練習参加したときから、うちにマッチしていて、来て欲しいと言っていた。戦術理解度もすごく高く、良くやってくれています」と称え、「ヴェルディ(ユース)ではあまり試合に出ていなかったので、こういう舞台で出来る喜びというのが何よりも大きいようで、良く取り組んでくれて助かっています」と思いやった。

 大学進学後、開幕からわずか3試合で先発へ定着。今秋にはデンチャレを見据えた北信越選抜の選考会にも招集されたが、直後に右足首を負傷し、選考会は断念した。そして、インカレ開幕の1週間前に練習へ復帰。故障明けということもあり、先発から外れるかと思われたが、無事に最初の11人に名を連ねた。

 この日の試合は奇しくも横山の地元である町田開催。試合会場が決まるとすぐに多くの友人に連絡したようだが、残念ながら平日開催だったため、たくさんの人が駆けつけるとまではいかなかったようだ。それでも両親の前でピッチに立つ勇姿をしっかりとみせた。

 選抜の選考会を辞退した悔しさから「今大会にかける思いは強かった」と話したMFだが「大学入学後から上手くいきすぎているので、リーグ戦でもたくさん出ていて、選抜でもいい経験を出来ればとは思いましたけど……そこまでいったら望みすぎかなという感じもします」とはにかんだ。

 北陸大は今夏の総理大臣杯で同校初の2回戦進出を果たすと、冬のインカレでも初の1回戦突破。歴史を変える2015シーズンを過ごしている。横山は「4年生は本当にいい先輩たち。出られない人たちの思いは伝わってくる。そういうなかで歴史的なところに携われているのは良かった」と安堵の表情も浮かべた。

「関東に比べたら、リーグ戦などは注目されないかもしれないけれど、あっちで経験を積んで、こういう舞台でびびらずに結果を残していければ」。北信越の地でひたむきに着実に経験を重ね、全国の舞台で輝きをみせるべく自らを鍛えていく。

(取材・文 片岡涼)
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